ブラジル日本移民110周年祭典委員会の顕彰小委員会(桂川富男委員長)は、「笠戸丸表彰授与式」を24日午後、文協大講堂で盛大に開催した。日系社会の発展ならびに日伯両国の関係強化への顕著な貢献を認められた110の個人・団体が栄誉に浴した。式典には全伯各地から受賞者と家族や友人らおよそ900人が参加し、共に喜びを分ち合った。
笠戸丸表彰は08年の移民百周年に続いて2回目。移民110周年を迎えた今年は、全伯から187件の推薦が寄せられ、審査で110の個人・団体が選ばれた。
呉屋春美会長は「日本や全伯各地から表彰者が選出されたのは喜ばしい。110年の歴史を有する日系社会を構成する多分野からの代表者だ」と功績を称えた。
菊地義治実行委員長は「こんなに沢山の人が集まってお祝いできることは、110周年の成果の表れ」と喜びを語り、サンパウロ州各地での感動の記念祭典を振り返った。なかでも平野植民地で眞子さまが泣き崩れた老婦人を抱擁された逸話を例に、「人に対する思いやりこそが日本精神。だからこそ皇室は3千年と続く。世界にそれだけの歴史を誇る王室は類を見ない」と語った。
最後に「移住は一世が死んで終わりではない。五世になっても彼らがこの大地で活躍し、日本との交流を保ち続けて初めて成功したと言える。式典は一日で終わったが、未来の懸け橋を築いてゆく夢はこれから。190万日系人が互いに国、兄弟を思い、さらに絆を深めて両国の発展のために尽くしていかなくては」と受賞者を激励した。
表彰式では89の個人(うち故人11人)、21団体に笠戸丸が描かれたメダルが授与された。
受賞者を代表して挨拶した纐纈俊夫さんは「先人達が正直、義理、人情の素晴らしい教育で道を開き、様々な分野で子弟が活躍しているのを見るとき、その偉大なる功績がますます輝き、感慨無量の思いだ。互いに力を合わせて世代地域を越えた人脈を構築し、出来る限り日伯関係の発展強化に貢献していきたい」と思いを語った。
受賞者の一人、コロニア・ピニャールやコチア青年連絡協議会などで会長職を歴任した山下治さん(82、福井県=コロニア・ピニャール在住)は、「入植当初は電気も水道もないところだったが、今では村には高等学校、図書館、日語学校まで全ての環境が備わった。色々な人のお世話になってきたが、少しは恩義に報いることができたのかもしれない」と笑みを浮かべた。