28日の為替相場は、3営業日ぶりのドル高レアル安で、レアルプラン採用以来2番目のドル高水準の1ドル=4・14レで取引を終了したと29日付伯字各紙が報じている。29日午後5時現在も4・12レで、ドルは高止まり中だ。
ドルは今月21日から1ドル=4レアルのラインを保っている。今月に入ってから28日までにドルは10・2%高騰。年始の水準と比較すると、上昇幅は25%にも達する。
ドル高は早くも、輸入品、燃料、医薬品や一部の食料品価格の高騰となって表れている。今月に入り、ガソリン価格は6%上昇、パンやパスタなどの小麦製品の価格は先月3%上昇した。
全伯ビスケット・パスタ・パン製造業者組合(Abimapi)のクラウジオ・ザナン会長は「各社は平均して90日分の小麦粉のストックを持っている。価格変更前の価格で小麦を抑えていた業者は、まだ価格を上げる必要はないが…」としつつも、製品価格は年末までに10%は上昇するのではと危惧する。
消費者に経済的な余裕がないことは製造業者もわかっており、為替変動によるコスト上昇分を全て価格に乗せず、利幅を削る事で対応している。リオ・グランデ・ド・スル州の食用油輸入会社の共同経営者シャニア・シャガス氏は、「ストックがあるので年内は価格上昇を食い止められる」としている。
自動車部品など輸入資材に頼る業界にも徐々に影響が出ており、利益を圧迫しそうだ。ただし、農業などの輸出産業にはかなり有利に働く。
この状況下では国内の高インフレが心配されるが、エコノミストらは「そもそも消費者の購買力が低いため、政府設定インフレ目標の年4・5%を超えることは考えにくい」と見る。とはいえ、インフレにこそならなくても、経済的な余裕がない中で、必需品である一部食料品が高騰すれば、消費意欲全般を減退させる可能性がありそうだ。
また、中銀も30日付で21億5千万ドル規模ドル売り市場介入を行うと宣言し、ドル高抑制に動いている。