ペルシャの文学作品や「不思議の国のアリス」の挿絵などで知っていたが、ブラジルで初めて実物を見たものの一つに水煙草(水煙管、水パイプ)がある。大きさは様々で、種々の香りをつけて固めた煙草の葉の上に炭を載せて熱し、出た煙をガラス瓶の中の水を通して吸う仕組みになっている▼大きな物には管が何本か付いており、大学教授が車座になり、学生と一緒に煙をくゆらせる写真を見た事もある。知り合いの青年は自分の子供の誕生祝いの時も子供の脇で友人達と吸っていたし、息子が友人と一緒に庭先で水煙草を吸うのも見てきた。市販品が高いと水煙草を手作りする青年もいたから、香りの良さや談話の楽しさもわかる。煙が水中を通り、有害物質の一部が溶けるから、健康被害は小さいんだとも思っていた▼だが、あにはからんや。29日付現地紙が、水煙草を20~80分間吸うと普通の煙草100本分の有害物質に晒されるという世界保健機構(WHO)の説を掲載したのだ。ブラジリア大学の学者によると、水煙草で減るニコチンの量は5%程度らしい。煙草を直接吸うより、煙草から立ち上る副流煙を吸う方が健康被害は大きい事も考えれば、水煙草を吸う人が身近にいる人にも驚愕の事実だろう▼香り付煙草は年少者でも吸い易く、喫煙の低年齢化につながるからと香り付の煙草製造を禁じ、煙草の包装にも健康被害を警告する写真を載せているブラジル。だが、今年の統計ではブラジルの喫煙者は10%に増えた。心臓の緊急手術を受けた知人は、いくらダメと言われても禁煙出来ないが、息子の友人が1人「喫煙停止60日」とFBに書いていた。記事を肴にもう1度話をしてみたくなった。(み)