高等選挙裁判所(TSE)は本日8月31日に非定例の特別審理を行う予定だ。ここでは、大統領選に出馬登録を申請しているルーラ元大統領(労働者党・PT)の政見放送を認めるか否かの判断を行うと予想されている。承認されなかった場合、ルーラ氏の弁護人は最高裁に訴える意向だが、早めに副候補のフェルナンド・ハダジ氏に交代するとの説もある。30日付現地紙が報じている。
特別審理の詳細は明らかにされていないが、基本的には、ルーラ氏の政見放送への参加の可否を問うものだ。それは、9月1日からの大統領選の政見放送前日の審理であることでも明らかだ。政見放送は本日からはじまるが、大統領選の放送は火、木、土曜なので、9月1日からとなる。
PT側は、ルーラ氏を候補とした放送をわずかな期間でも送ることに強く固執している。
「2014年の大統領選前にエドゥアルド・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)が飛行機事故で亡くなった時、同党の代理候補がマリーナ・シウヴァ氏に決まるまでカンポス氏を候補とした放送を行っていたではないか」と、PTのルイス・フェルナンド・カーザグランデ・ペレイラ氏は語っている。
だがルーラ氏は現在、収賄などの容疑で12年1カ月の実刑判決を受けて服役中で、「2審目有罪の時点で選挙への出馬は禁止」とするフィッシャ・リンパ法による出馬無効を求める請求が16件も届いている。
そうした事情もあり、TSEは大統領選候補者の討論会へのルーラ氏の参加を禁じてきた。今回は、1日からの政見放送でルーラ氏を候補とする放送を流すことの可否が問われる。
ルーラ氏の出馬資格などに関する審理の担当報告官は、TSE副長官でもあるルイス・ロベルト・バローゾ最高裁判事だ。出馬登録を認めたのに政見放送を認めないのは理不尽とPTが主張しているため、本日の審理で出馬資格が問われる可能性も高い。同判事はルーラ氏への人身保護令適用に反対するなど、厳しい判断を下しており、ルーラ氏には不利だ。
この審理で出馬資格が否定された場合、PTの弁護団は最高裁に上告する意向だ。その際には、国連の自由権規約人権委員会が17日に行った、ルーラ氏の出馬を認めるようにとの勧告を盾にするつもりだという。
だが、最高裁まで持ち込んでも、ルーラ氏の放送は差し止められる可能性があり、最高裁で勝利する確証もない。その場合、ハダジ氏への候補乗換えが遅れ、有権者にハダジ氏のことがアピールできずに終わる可能性も出てくる。そのため、早期にハダジ氏への候補切り替えをと望む勢力もPT内には存在する。