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《ブラジル》「ベネズエラ人難民に選挙権?」とのデマが拡散=不安感誘って極右候補に誘導?

ブラジルには12万人を超えるベネズエラ人が逃げ込んだといわれている。(参考画像・Marcelo Camargo / Agencia Brasil)

ブラジルには12万人を超えるベネズエラ人が逃げ込んだといわれている。(参考画像・Marcelo Camargo / Agencia Brasil)

 「物凄い数のベネズエラ人がブラジル国内での法的権利を全て保障されて押し寄せてくるぞ。奴らには選挙権まで与えられるんだって」とのツイッターのつぶやきが確認されたのは8月29日。拡散のリツイートも270回され、投稿への「いいね」も416個確認された。

 他にも類似のつぶやき、投稿がフェイスブックなど他のSNSでも見られた。

 飛び交うフェイクニュース、デマと戦うためにブラジル各メディアが協力して作った組織「コンプローヴァ」にも、この噂の真偽を確かめてほしいとの要請が届き、デマだと認定した。

 それをうけ、ブラジル・メディアは「ベネズエラ人難民には10月の総選挙で投票権が与えられているとの情報はデマ」だと報道している。

 これはベネズエラ人難民の流入が急増しているブラジル北端のロライマ州で発生し、ブラジル全土で拡散している偽情報だ。

 ブラジル憲法によると、外国人はブラジルの選挙で投票する権利はなく、選挙権を得るためには帰化しかない。外国人は帰化のためには最低4年はブラジルに住んでいなくてはならない。

 そもそも選挙権のあるブラジル人でも、有権者登録を済ませていないと投票は出来ない。有権者登録の期日は、10月7日の投票日から151日前の5月9日だ。それ以降新たに選挙権を得られるのは、10月7日、28日の統一選が終わった11月5日からだ。

 インターネットの発展により、一般市民が既存大手マスコミ並の情報発信力を手にした事でフェイクニュースへの危機感が世界中で叫ばれている。ブラジルのメディアもこれまで以上に、候補者たちの発言の真偽を「これは嘘」「完全に正しいとは言えない」「一部に誤りあり」「誇張」とチェックする事に多くの労力を割いている。

 「ベネズエラ人難民に選挙権?」と煽る発言の裏には、「そんなことになっては大変だ。ブラジル人の生活が脅かされないためには、XXXX(極右候補)に投票するしかない」という具合に人々の不安を操る効果を狙う意図が見え隠れする。偽情報に惑わされない分別が、ブラジル国民にも強く求められる。(8月31日付フォーリャ紙より)