8月31日、高等選挙裁判所(TSE)でルーラ元大統領(労働者党・PT)の大統領選出馬資格を問う審理が行われ、6対1の大差で同氏の出馬資格を否認した。PTはなおも最高裁に上告する意向だが、出馬資格は即時停止となる。だが、PTは9月1日の大統領選の政見放送にルーラ氏の映像を乗せ、TSEに反発した。1、2日付現地紙が報じている。
8月31日の審理の報告官は、最高裁判事でもあるルイス・ロベルト・バローゾ判事が務めた。ルーラ氏の服役開始の理由にもなった、4月5日の最高裁での審理でルーラ氏への人身保護令を認めなかったことでも知られる同判事。ルーラ氏は「第2審で有罪となった人は選挙に出馬できない」とするフィッシャ・リンパ法の対象となるとして、出馬を認めなかった。
だが、最高裁でのラヴァ・ジャット作戦の担当も務めるエジソン・ファキン判事が、「国連関連機関がルーラ氏の出馬を認めるよう勧告している」とのPT側の主張を受け入れ、同氏の出馬を認めることに票を投じた際は全員に驚きが走った。バローゾ判事は先に「従う必要はない」と、これを否定していた。
だが、それに続くジョルジュ・ムッシ、オグ・フェルナンデス、アジマル・ゴンザーガ判事が立て続けにバローゾ判事を支持。この時点で過半数の4票を超えたが、さらにタルシシオ・ヴィエイラ、ローザ・ウェベル長官も続いたため、結果は6対1となった。
さらに、もう一つの投票の結果、5対2で、PTはシャッパを変えるまで政見放送には参加できないとの決定も出た。シャッパの入れ替え期間は9月10日までの10日以内とされた。
だが、審理が終わったのは午前1時を過ぎており、最初の放送が始まる午前7時には間に合わなかった。これは「放送差し替え」の限度である6時間前を超えていたためで、PTは、ルーラ氏が大統領候補であると訴えないことを条件に、政見放送を行うことが認められた。
その結果、PTは1日に放送された政見放送でも約2分半を使うことが認められたが、この放送でPTは、TSEの判断をゴウピ(クーデター)とし、ルーラ氏を候補として、出馬が認められるまで上告して戦うとの姿勢を示した。
同時にこの放送では「ルーラ氏のために戦う闘士」として、代替候補が予想される副候補のフェルナンド・ハダジ氏の存在が強調され、視聴者に後継者を訴える内容にもなっていた。
この放送に対し、検察庁は改めてPTの放送にルーラ氏を出さないよう請求。各政党も異議を申し立てた。TSEは2日夜、政党Novoからの訴えを受け入れ、ルーラ氏を候補としているプログラムの放送を差し止めた上、PT、ブラジル共産党(PCdoB)、社会秩序共和党(PROS)に罰金を科した。