ブラジル・サンパウロ靖国講(講元=浜口イネス晴海)による慰霊祭が1日午前、サンパウロ市リベルダーデ区の東洋会館で行われ、約60人が粛々と英霊と移民の先達に玉串を奉納した。当日ははるばるプロミッソン靖国講の中場マサ子講元も参加した。
喪中の浜口講元に代わって副講元の服部リカルドさん(37、二世)と西国幸四郎サンパウロ支部長が取り仕切った。司会は渋谷山田レナンさんで、祭主の上妻博彦さんはこの日のために記した祝詞を奏上した。
服部さんは祭文の中で「246万6千余柱を超える御霊が靖国神社に祀られていますが、その中には外国籍を含むアメリカやブラジルの日系二世も含まれております。(中略)日本国を背負って東南アジア、北米そして南米に渡り開拓された日本人移民も、過酷な状況下で次の世代の為に道を切り開かれました。その上に私たちは生かされているのです」と感謝をささげた。
大志万学院の西国山口文香さん(15歳、二世)は生徒を代表して祈りの言葉をあげた。英霊に向かい「皆さんは日本の国を護るために、日本のお父さんやお母さんや兄弟、家族を護るために尊い生命を捧げてくださいました。(中略)皆さん痛かったでしょう。苦しかったでしょう。ごめんね。(中略)私達は一生懸命に勉強して、世界を平和にするために努力します。靖国神社の皆さん、どうか私たちを応援してください。(中略)靖国の皆さま、遠いブラジルまで来てくださってありがとうございます」と語りかけた。
さらに、移民の先達に向かっても「皆さまは、いつどんな時でも、胸に日の丸を入れて『日本人は立派だよ』『日本人の恥になることは絶対にしないぞ』と頑張ってくださいました。今、ブラジルはもちろん世界の人たちから私たちは尊敬されて頑張っています。私たちは幸せです。これからも皆さんのことを忘れず、立派な日系ブラジル人として生きていきます」と宣誓した
全員で「ふるさと」を合唱し、祭壇に供えられたお神酒を一口飲んだ。来賓を代表して下本八郎元サンパウロ州議は、「すばらしい慰霊祭に参加させてもらいありがとう」と賛辞を送った。
服部さんは閉会の辞で「これで英霊の方、移民の先輩方も喜んでいらっしゃるのではないか。諸先輩から我々がバタンタッチをうけ、我々が諸先輩の後を追って、これからしっかりとやっていきたい」と世代交代を印象付けるメッセージを送った。
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プロミッソン靖国講の中場マサ子講元に「いつころできたんですか」と聞くと、「入植とほぼ同じころにできていたという話ですから、100年近いはずです。私で5代目ですが、全員ほぼ20年ずつやっています」とのこと。今でも6月の移民の日の慰霊祭にあわせて集まり、英霊に祈る伝統を欠かさないという。さらに靖国神社の新聞購読をし、講元、もしくは関係者が年に一度奉賛金を納めに靖国神社を訪れるという。「最盛期で50人ぐらい。父が受け継いだときは30人、今でも20人ぐらいいます。たとえ私たち兄弟だけになっても続けます」と言い切った。「でも、サンパウロは若い人が受け継いでくれて本当うらやましい」と賞賛していた。