【既報関連】高等選挙裁判所(TSE)は、ルーラ氏の候補失格を認めない労働者党(PT)が大統領選の政見放送でルーラ氏を候補とした放送を流したとして、放送差し止めと別候補での放送を命じたが、PTがこれに応じようとせず、問題がこじれている。4日付現地紙が報じている。
TSEは8月31日から9月1日未明にルーラ氏の出馬資格を問う審理を行い、出馬を無効とした。だが、政見放送の差し替えが可能な「放送6時間前まで」を過ぎていたため、ルーラ氏を候補にしないことを条件に、別の候補登録までの間の政見放送を許可した。しかし、1日のPTの政見放送はルーラ氏を候補とするのに固執したものが流れた。
それを見て、政党ノーヴォがPTを政見放送から外す請求をTSEに行うなど、不満の声も多くあがっている。
これらの反応を受け、TSEのルイス・フェリペ・サロモン判事が2日夜、カルロス・バスチデ・オルバック判事が3日、ルーラ氏を主役とした、テレビとラジオの政見放送の差し止めをPTに命じた。理由は「誰が候補なのか視聴者が混乱するため」で、遵守しない場合は50万レアルの罰金を課すとした。
だが、4日に行われたPTの政見放送は、ルーラ氏の存在をそれまで以上に目立たせたものだった。冒頭には数秒間、文字だけが流れ、「ルーラ氏の放送はTSEには止められたが国連は認めている」と主張。画面にはルーラ氏の映像と声がしっかりと映された。また、その後、現在の副候補でルーラ氏を代替する予定のフェルナンド・ハダジ氏が登場。印象としては「2人で大統領選を」との印象を与える見せ方だった。
PT側の言い分は「まだ高等裁、最高裁、国連に訴える時間がある」というもので、「候補の代替期間は10日間とTSEが定めたから、9月11日から代えればいい」という解釈だ。
だが、この放送内容を了承するかどうかはTSEの判断次第で、ルーラ氏を取り下げない放送内容に批判が集まることは予想される。
また、ハダジ氏は3日にパラナ州クリチーバで服役中のルーラ氏と面会したが、面会後、苦汁の表情で連邦警察を後にしたと報じられている。4日付G1サイトでは、ルーラ氏は3日に、ぎりぎりまで上告を繰り返し、自分を候補とし続けるよう、直接、弁護士に命じたとの報道も流れた。
PT内部のハダジ氏のグループは、「いつになったらハダジ氏と候補を交代するのか」と不安を募らせている。それはハダジ氏の全国的な知名度がまだあまり高くない上、現状で国民の4割近くいるとされるルーラ氏の支持者の中に、マリーナ・シウヴァ氏(REDE)やシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)といったほかの左翼候補に票を投じたいとする声が実際にあるためだ。