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デカセギ子弟から東大生誕生!=CIATEコラボラドーレス会議=日本で来年、外国人受入れ新制度

「日系ラティーノから東大生が生まれる時代になった」と講演する松本さん

「日系ラティーノから東大生が生まれる時代になった」と講演する松本さん

コラボラドーレス会議の様子

コラボラドーレス会議の様子

 デカセギ子弟から日本側では東大生、ブラジル側でも裁判所書記官、外交官養成学校志望者など両国社会で将来有望な人材が続々と誕生――CIATE(国外就労情報援護センター、二宮正人理事長)が7月26日に文協貴賓室で開催した『2018年度CIATEコラボラドーレス会議』では、「現代の日本―在日ブラジル人の日本社会への統合」をテーマに8人が講演し、そのような興味深い話が次々に披露され、125人がじっくりと聞き入った。 

 まずカエル・プロジェクト代表の中川郷子さんが「デカセギ子弟を支援した10年」を振り返った。その後、ディオゴ・イケドさんが「デカセギ子弟としての経験」を発表。イケドさんは、親に連れられて11歳から7年間を日本で過ごした後、帰伯して昼間は工場労働しながら、同センターが運営する昭栄奨学金(デカセギ経験者と子弟向けの教育支援事業)を受けて大学法学部を卒業して公務員試験に合格し、ソロカバ市で裁判所書記官に就いた経験を語った。

 厚生労働省内閣官房審議官の田畑一雄さんは「最近の日系人の雇用情勢と政府の施策」を講演。昨年末現在で日本の在留外国人数は約256万人と過去最高を記録し、総人口に占める割合も2%超になったと発表。もっとも外国人比率が高い自治体は群馬県大泉町でなんと17・6%、6人に1人が外国人だ。

 深刻な人手不足に対応するために、専門的・技術的分野における新しい外国人受入れ制度を検討するように安倍総理から今年2月に指示があり、7月24日の関係閣僚会議で外国人材の受け入れ、共生のための総合対策が決定されたと報告。「来年4月から新制度が開始される予定」と語った。

 その総合対応策のひとつには「海外における日本語教育の充実」があり、日本語教育の専門家派遣の拡大などによる現地教師の育成・拡大、各国の教育機関の活動支援の拡大(日本語教師の給与助成)の項目も盛り込まれていると発表した。

 午後の部、松本アルベルトさん(静岡県立大学講師)の講演では、同県立大の教え子が4カ国語を駆使して羽田空港で勤務している経験談に加え、愛知県出身のペルー四世の稲福勇也さんが今年4月から東京大学教養学部に進学していることも発表された。「初めてデカセギの子供が、普通に試験を受けて東京大学に入った。日系ラティーノ(中南米出身の日系人)全体の誇り。そういう時代になってきた」と胸を張った。

ルイザ・リベイロ・ロペス・ダ・シルバ大使

ルイザ・リベイロ・ロペス・ダ・シルバ大使

 ルイザ・リベイロ・ロペス・ダ・シルバ大使(ブラジル外務省領事及び在外ブラジル人担当局長)が「日本のブラジル人コミュニティ強化のためのブラジル政府の施策」を講演。最後にペリッペ・デソンジさんが昭栄奨学金への感謝をのべ、「15歳から18歳まで日本にいて、帰伯してから、奨学金のおかげでサンパウロ州立大学(UNESP)国際関係学科で勉強している。将来はリオ・ブランコ(外交官養成学校)に進学したい」との夢を語った。

 

 

 

 

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 松本アルベルトさんは講演の中で、「技能実習生が一定の職歴を積んで技能を身につければ、来年4月の新外国人受入れ法によって定住資格を得る可能性がある。そうなると日系人の競争相手になる。彼らは自分の国に帰っても仕事がないから必死。とてもハングリーで一生懸命な人たち。日系人は少なくとも三世までは活動制限のないビザだから、自分の努力しだいではいくらでも日本でチャンスがある。日本語を覚え、せめて子供には高校を卒業させるべき」と親であるデカセギ本人の意識改革の必要性を訴えた。