《ブラジル》税制優遇処置、来年3千億レアルに=徴収すれば国家財政黒字のはず=業界圧力避け、大統領候補も口濁す

来年の法人や慈善団体などへの税制優遇措置の総額は、230億レアル増加して3064億レアルに達すると、5日付現地紙が報じた。10月の大統領選に向け、各候補者が口を揃えて公約しているのとは、完全に逆行している数字だ。
企業が国に収める社会保障費の支払い免除(デゾネラソン)や、経済刺激策の名目で「企業への税の超長期分割支払い」や「滞納利息や罰金の免除」を認めるなどの方法で、「税制優遇措置」はとられてきた。
ブラジル政府は、来年の基礎的収支の赤字を1390億レアル以内に収めるとの目標を立てている。だが、本来受け取るべき税金、社会保障費など、総額3064億レアルを厳格に取り立てれば、1674億レアルの黒字に転換する事も可能だ。ところが、現段階からそれを放棄している。
国税庁が4日に連邦議会に送った報告書には、「税制優遇措置の対象3064億レアルは、GDPの4・2%に相当」と書かれている。また、3064億レアルは、来年の予想税収の21・8%に上る。
ただし、いくつかの優遇措置は、憲法で認められている事項でもある。例えば、アマゾナス州マナウス市にある経済特区内の徴税免除は、今年政府が行う優遇分2834億レアルの8%を占めている。
今年から来年にかけての税制優遇措置の総額は約8%増える。「税制優遇」を「支出」ととらえると、一昨年に憲法を改正して成立した歳出上限法の定める、「政府支出はインフレ分以上に増やしてはならない」に抵触する。(19年の政府支出は、各部門とも、18年比4・39%以上上げてはならない)
大統領選まで残り1カ月あまりとなり、各候補者は「企業への税制優遇措置の見直し」を繰り返し口にする。国家財政の健全化が急務であることは、全ての候補者が理解している。その手段として「税制優遇を見直す」と槍玉に上げがちだが、実際には、優遇を受けている業界の票を失う事を恐れ、「どの分野の優遇措置を撤廃する」とまでは誰も発言しない。
選挙前は、特定の分野への優遇措置削減を公約するのではなく、「全体的に削減する」とだけ言っておくのが賢明との声も舞台裏からは出ているようだ。
連邦会計検査院(TCU)は「税制優遇措置の半分は監査が不十分。優遇を受ける条件を対象者(法人)が満たしているかどうか、本来ならいくら支払うべきところをどの程度優遇されて、実際の支払い額がどうなったかなどがあいまい」と警告している。
今年7月に議会を通過した、19年度連邦予算基本法(LDO)には、「税制優遇措置を10%削減する」と記されていたが、テメル大統領はそれを拒否した。
しかし、予算基本法では「今後10年で、デゾネラソンや経済刺激策としての企業負担削減措置を半分にしなければならない」とされているため、国税庁スタッフは少なくとも、何を削減できるかの調査には入っている。