ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》大統領候補のボルソナロ、ナイフで刺され瀕死の重傷=病室では銃の構えで物議=犯人は特別刑務所に護送=大統領選は穏やかなトーンに

《ブラジル》大統領候補のボルソナロ、ナイフで刺され瀕死の重傷=病室では銃の構えで物議=犯人は特別刑務所に護送=大統領選は穏やかなトーンに

7日、病室で銃のポーズをとるボルソナロ氏(@FlavioBolsonaro)

7日、病室で銃のポーズをとるボルソナロ氏(@FlavioBolsonaro)

 6日にミナス・ジェライス州で暴漢に刺された、極右大統領候補のジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)は、同日中に緊急手術を受けた後、サンパウロ市のアルベルト・アインシュタイン病院に運ばれ、療養中だが、病院内の写真でも物議をかもした。また、犯人のアデリオ・ビスポ・デ・オリヴェイラ容疑者の身元なども諸々判明している。10日付現地紙が報じている。

 ボルソナロ氏は包丁で腹部を刺され、ジュイス・デ・フォーラ市のサンタカーザ病院で緊急手術を受けた。
 包丁は同氏の腹部右側を10センチほど貫通。大腸や小腸を傷つけ、腸に血液を供給する静脈のひとつを切断したため、約10分で病院に着いたものの、30~40%の血液を失い、血圧が大幅に低下。約2リットルの輸血を受けた。医師らは止血や小腸縫合と並行し、損傷が大きかった大腸の一部を切除、人工肛門もつけた。場合によっては命の危険もある状態だったという。
 術後は順調で、7日にサンパウロ市のアルベルト・アインシュタイン病院に移送された。10日朝の発表によると、感染症は起きていないが、軽い貧血があるという。約2カ月後には、大腸を縫合し直し、人工肛門を閉じる手術を行う必要もある。
 ボルソナロ氏は既にインターネットで現状の報告をしており、8日に撮影した写真では、トレードマークとなっている指で銃の形をとるポーズを続けたが、これが波紋を呼んでいる。
 ボルソナロ氏が刺されたことに関しては世論が二分されている。7日までのツイッターの集計では、同氏への同情的なコメントは19・9%だったのに対し、否定的なものが38・3%に及んでいた。否定的なコメントでは、「本人が銃のポーズをとるなどして暴力を煽っていたから」という意見が目立っていた。その最中での犯行だった。
 一方、犯人のオリヴェイラ容疑者は、2007~14年に急進左派の社会主義自由党(PSOL)に所属していた。現在はどの政党にも所属しておらず、警察には「神からの使命で犯行に至った」と語っている。同容疑者は現在、重要犯罪者を収容するマット・グロッソ州カンポ・グランデの特別刑務所に送られている。
 また、ラウル・ジュングマン治安相は7日、ボルソナロ氏に対しては、かねてから警備に気をつけるよう注意していた、とし、事件当時の警備の状況を語っている。連警は大統領候補者らの警備強化も決めた。
 8日の大統領選の政見放送や9日にガゼッタ局が開催した大統領選候補の討論会では、ボルソナロ氏の件は穏やかなトーンで語られた。いずれの候補者も、「ナイフでの攻撃は民主主義を脅かすこと」との批判と共に、「主義の違いを乗り越えてひとつになること」の重要さを語った。