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リオ国立博物館をユネスコの一団が視察=復興に向けて動きはじめる

13日のユネスコの視察団(Fernando Frazão/Agência Brasil)

13日のユネスコの視察団(Fernando Frazão/Agência Brasil)

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の代表団が13日にリオ市を訪れ、2日に火災に遭った国立博物館を視察した。14日付現地サイトが報じている。
 クリスティーナ・メネガッジ氏を団長とする一団の活動は、来週から本格化する。13日にリオを訪れたのは、メネガッジ氏とジョゼ・ルイス・ペルデソリ氏で、博物館理事らとの会談と現状視察が主眼だった。
 メネガッジ氏はこれまでも、レバノンで行われたシリアの歴史遺産復興計画を主導。ペルデソリ氏は、イタリアの国際文化財保存修復センターで各種のコレクション保存計画を担当している。
 国立博物館の復興計画には、フランスやポルトガル、ドイツ、メキシコ、チリなども強い関心を示しているという。
 同博物館は火災後、館内の様子や残っている文化財の有無を確認する作業などを行ってきたが、12日からは、博物館の本館の周囲を板で囲う作業も始めた。
 同館のアレッシャンドレ・ケルネル館長によると、ユネスコの一団は現場視察前、博物館の理事らと会合を持ち、「歴史的な遺産が雨に濡れないように手段を講じる」などの具体的な提言も行った。同館は2日の火災で屋根が焼け落ち、天井が開いたままとなっている。
 国立博物館は今年で創立200周年を迎え、帝政時代もしくはブラジルがポルトガルの植民地だった頃からの歴史的な遺産や遺骨、調査団が行ってきた長年の研究資料など、ブラジルの歴史にとって重要な資料を数多く収めていたが、今回の火災でその約90%を失った。
 ケルネル館長は、これほどの被害を受けてもなお、同博物館は活動を続ける意向で、博物館としての研究なども継続して行くと強調している。また、火災の間接的な要因となった、国からの支援の少なさなどを改めて訴えていく所存だ。
 テメル大統領は現在、博物館復興のための支援を国際的に呼びかけ続けている。連邦政府は10日にブラジル博物館庁(Ibram)を設立。国立博物館再建の責任はリオ連邦大学から同庁に移る。同庁では、向こう1年以内に、本格的かつ国際的なリオ国立博物館復興プロジェクトを立ち上げたいとしている。