ベネズエラでは国民の87%が貧困に陥っているという緊急事態の最中に、ニコラス・マドゥーロ大統領がトルコのイスタンブールで超高級ステーキを食べた動画が公開され、世界的に批難を集めた。19日付ブラジル国内紙が報じている。
動画中のマドゥーロ氏は、妻のシリア・フローレス氏と共に、世界的に名が知れたトルコのステーキ職人ヌスレット・ギョクチェ氏(通称ソルト・ベイ)のレストランでステーキを食べた。マドゥーロ氏は「一生に一度の体験だ」と、大喜びして肉をほおばった。
ソルト・ベイ氏の店はかねてから、世界的な俳優やスポーツ選手、政治家らが訪れることで知られ、1回の食事は70ドル(289レアル)から250ドル(1350レアル)かかる。
ベネズエラは現在、インフレ率が年100万%超という、世界でも異例な経済的苦境に陥っている。今回、マドゥーロ氏が食べた食事は、ベネズエラでの最低給料の2~8カ月分に相当する。
この動画は先週録画されたものだ。先週、同大統領は中国に赴き、経済的支援を求めていたが、帰国する前にトルコ政府から招待を受け、昼食を共にしたという。
トルコも現在、クーデター画策の疑いで米国人のアンドルー・ブランソン牧師を人質にとったことでトランプ大統領から厳しい経済制裁を受けて孤立。協力国を求めている最中のことだった。
マドゥーロ氏は17日未明にベネズエラに帰国した後、トルコに立ち寄り、ソルト・ベイ氏の店で食事のもてなしを受けたことへの感謝の言葉も口にした。
問題の動画や写真はこのコメントの少し前、ソルト・ベイ氏がマドゥーロ氏の訪問への感謝の言葉と共に、ソーシャル・ネットワークで公開したものだ。だが、公開後、ベネズエラではネット中心に国民の怒りが噴出。ソルト・ベイ氏の店のサイトにもベネズエラ国民からの批判が殺到したため、ソルト・ベイ氏はこの動画を削除した。
ベネズエラ国民の多くは食料や医薬品などの必需品にも事欠く生活を強いられており、数百万人が同国を後にしている。
この食事の写真は、ブラジルでも19日付フォーリャ、エスタードの両紙の表紙を飾った。
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