ブラジル北部のアクレ州内陸部のカピシャバ市で9月27日夜、殺人容疑で捕まったエリソン・デ・ソウザ・サントス容疑者(19)が、警察署に乗り込んだ住民達からリンチに遭って死亡するという事件が起きた。
同容疑者が捕らえられていた警察署を襲った住民達は、署の門や錠前をハンマーなどで壊し、同容疑者を房から引きずり出した。サントス容疑者は一旦、住民らの手を逃れたが、国道317号線まで逃げたところで追いつかれ、鎌や山刀などで傷つけられて死亡した。
カピシャバ市の警察署長によると、サントス容疑者は事件当日午後、26日に起きた、69歳と58歳の夫婦殺害容疑で逮捕され、警察署に収監されていた。
老夫婦の殺害事件はカピシャバ市の農村部で起きた。夫のフランシスコ・オリヴェイラ氏と畑仕事をしていたという隣人によると、オリヴェイラ氏は自宅の方で銃声が聞こえたため、不審に思い、自宅に向かったが、それから間もなく、再び銃声が響いたという。
隣人は慌てて別の隣人の家に行き、オリヴェイラ氏らが襲われたに違いないと話した。
カピシャバ市はボリビアと国境を接しているため、同市の警察とボリビアの警察の双方が現場に駆けつけたが、妻のセバスチアナ・メンデス氏は顔を撃たれ、自宅で事切れていた。オリヴェイラ氏は胸を撃たれ、自宅から50メートルの所で息絶えていたが、その遺体は木の葉で覆われていたという。
警察は当初、殺害されたのは夫婦だけと見ていたが、9月27日に、ボリビアとの国境付近で新たな遺体が見つかった。警察は二つの事件の関係を調べている。
9月27日に遺体で発見されたのはボリビアに長年住むブラジル人で、「カベルード」という通称である事もわかっているが、本名はまだ判明していない。カピシャバ市の警察署によると、犠牲者はブラジル人だから、ボリビア側で起きた事件だが同署が扱うという。
遺体の状況から、殺されたのは、老夫婦殺害事件が起きたのと同じ26日と見られているが、遺体が発見され、鑑識班が法医学研究所に移送するための手続きを行っていたのと、住民らが警察署を襲い、サントス容疑者をリンチにかけたのは、ほぼ同じ時刻だった。
サントス容疑者はアマゾナス州出身で、文盲だったという。
アクレ州市警は、警察署の防犯カメラの映像などから、サントス容疑者を連れ出し、殺害した人達を特定しようとしている。警察署内や門はかなり酷く壊されており、特定された人達は殺人罪や公共物破損の罪に問われる見込みだ。(27、28日付G1サイトより)