パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は1日、ルーラ、ジウマ両氏の労働者党(PT)政権の重要閣僚だった、アントニオ・パロッシ氏のラヴァ・ジャット(LJ)作戦での報奨付証言(デラソン)の一部公開を認めた。これにより、「ルーラ氏は2007年からペトロブラス(PB)の汚職計画を知っていた」「10、14年のジウマ氏の大統領選キャンペーンの経費は申告の約4倍以上だった」などの発言が飛び出している。2日付現地紙が報じている。
パロッシ氏は16年にLJで逮捕され、最初の裁判で、モロ判事から12年2カ月の実刑判決を受けている。
同氏は17年に、連邦検察庁との間でデラソンを取りまとめようと試みたがかなわず、今年4月に連邦警察で新たなデラソンを行った。今年のデラソンは、最高裁が連警との間のデラソン締結を認めた直後に連邦第4地域裁のジョアン・ペドロ・ジェブラン・ネット判事が承認したもので、モロ判事が1日に、ルーラ氏への言及のある箇所の公開を了承した。
それによると、ルーラ氏はすでに、2007年頃からPB内での汚職のことを知っていたが、当時の供給部長だったパウロ・ロベルト・コスタ被告や同じくサービス部長だったレナト・ドゥケ被告らの不正を見逃し、同職に就かせ続けていたという。
元部長らは、PBとゼネコン企業が契約を結ぶ際に、手数料として、連立与党の政治家に賄賂を支払わせていた。
さらにパロッシ氏は、ルーラ、ジウマ両政権で出された632件の暫定令(MP)の内、90%は関連する企業や団体の賄賂が絡んでいたと語っている。
また、ジウマ氏が2010年、14年の大統領選に出馬した時にかかった金額が、申告額より大幅に大きかったことも明かした。それによると、2010年の申告額は1億5300万レアル、14年は3億5千万レアルだったが、実際には前者が6億レアルで約4倍、後者も8億レアルで倍以上だったという。
これらの内容公表に対し、ルーラ氏側弁護人のクリスチアーノ・ザニン・マルチンス氏は、「パロッシ氏の証言は明らかにルーラ氏やその周囲の人への政治的な影響を狙ったものだ」として批判。「検察が一度却下したものがなぜまた?」と不満を示した。
支持率調査で伸び止まるハダジ候補
1日に発表されたブラジル世論調査・統計機関(イボッピ)の大統領選世論調査では、PT候補のフェルナンド・ハダジ氏の支持率は21%と変わらず、31%にあがったジャイール・ボルソナロ氏に差をつけられた。その原因の一つは、同党の重鎮で元官房長官、メンサロン事件やLJでも服役していたジョゼ・ジルセウ氏の「我々の政権奪回までもう少し」「最高裁判事を全て取り替えたい」といった発言だが、今回のデラソンはそれに続く痛手となりそうだ。