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《ブラジル》ミナス州=保育園の放火事件から1年=今も後遺症に悩む子供や家族

放火事件直後の保育室(Polícia Militar/Divulgação)

放火事件直後の保育室(Polícia Militar/Divulgação)

 ミナス・ジェライス州北部のジャナウーバ市の保育園で起きた、警備員による放火事件から、5日で丸1年となったが、この事件で負傷した子供やその家族は、今も後遺症などに悩んでいる。
 この事件では警備員と教師3人、子供10人が死亡し、50人の負傷者が出たが、現在も、火傷のために親に完全に依存しなければならない子供が何十人もいるという。
 元掃除婦のフェルナンダ・シウヴァさんは、6歳の娘の世話をするために仕事を辞めた。
 ケロイドが残り、絶え間ない痛みにさいなまされる娘のため、加湿器を1日中稼動させ、クリームや日焼け止めを繰り返し塗りこむ毎日。市役所からの支援金1千レアルは、機械を入れたために増えた電気代や、火傷治療用の薬、や特別な包帯などで使い果たし、精神面のケアのための精神科医の診察も、長蛇の列に入って、予約を入れなければならなくなった。
 外に出て遊ぶ事も出来ず、気持ちが塞ぐ娘は、顔のケロイドを見た小さな男の子に笑われて泣き出し、化粧品で傷を隠そうとした事さえある。
 娘の入院に付き添ったため、夫は失業。市役所からの賠償金の支払も12月で終るため、その後の生計をたてる方法の悩みの種だという。
 全身火傷を負ったマテウス君(当時5歳)を亡くしたヴァウジレネ・サントスさんも、亡くなって初めて、息子を胸にかき抱く事とキスをする事が出来たと語り、悲しみを新たにする。また、マテウス君と過ごした家は思い出が多過ぎて辛く、実家のそばに引っ越し、マテウス君の兄2人を育てているという。祈りなくしては日々を過ごせないというヴァウジレネさんは、事件後はそれまで以上に子供達を愛すようになったとも語る。
 事件の7カ月後には被害者の家族が家族会を結成し、子供や教職員の治療費や生活費、医薬品などを確保するために力を合わせている。家族会にはこれまでに、企業家達からの支援金21万5千レアルと、火傷の治療用の薬や手袋、包帯その他の品々が届けられた。
 保育園はその後改修され、授業を再開したが、外傷こそなくても、煙で呼吸器をやられたり、現場の光景が脳裏に焼きついたりしている子供達を同じ場所に連れて行くのは容易ではないと語る親もいる。
 検察や公選弁護人らの仲介で市役所が賠償金を払う事になったが、その額は決して高くない上、12月で終る。
 家族や遺族からの戦いはこれからも続き、要請は山積。精神面のケアへの支援だけでも続けられないかとの問いに、市長は法が許す範囲で出来る限りの支援はしたと答えているが、家族や遺族は納得しきれずにいる。
 5日には追悼イベントも行われ、最初のミサでは、犠牲者や遺族への慰めや、負傷者の完全な癒しなどのための祈りが捧げられると共に、家族や生存者への励ましの言葉も語られた。(5日付G1サイトより)