4日、一次投票前では最後となるテレビでの大統領選討論会がグローボ局で行われたが、支持率1位のジャイール・ボルソナロ氏は、「医師から止められた」として出演しなかった。ところが、同じ時間帯のレコルデ局の番組では独占インタビューを受け、他候補から批判を浴びた。5日付現地紙が報じている。
9月6日の刺傷事件の後、29日に退院したボルソナロ氏は、その後も大統領選のテレビ討論会には出演していない。
この日も、「医師から止められた」との本人コメントだった。にも関わらず、グローボ局での討論会と全く同じ時間帯に、レコルデ局がボルソナロ氏の自宅から独占インタビューを行った。
グローボ局出演の他の大統領候補は一様に不快感を示し、マリーナ・シウヴァ氏(REDE)は「臆病者」と批判。エンリケ・メイレレス氏(民主運動・MDB)は、ボルソナロ氏を、1989年の大統領選で、一次投票前の討論会に欠席を続け、「国の救世主」という、よく似たキャンペーンを行って当選したフェルナンド・コーロル氏と比較し、批判した。
また、ギリェルメ・ボウロス氏(社会主義自由党・PSOL)からは、「軍政が終わって30年経つが、今ほど再び軍政に近づいているときはない」と、ボルソナロ氏が大統領になることを恐れる意見が飛び出した。支持率2位で追うフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)も、「民主主義なきところに法はなし」とし、ボルソナロ氏の経済政策を批判した。
一方、ボルソナロ氏は、1日に報奨付供述の一部が公表され、ルーラ元大統領を巡る新たな疑惑を暴露した、元PT重要閣僚のアントニオ・パロッシ氏を褒め称える発言などを行い、ハダジ氏への批判を行った。
ボルソナロ氏以外で、グローボ局の討論会での批判の矛先にされたのはハダジ氏だ。シロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)は、「ボルソナロ氏でもハダジ氏でも、このままではまた罷免される大統領が生まれてしまうだけだ」と批判。マリーナ氏も、「政権を追われてからも、PTから過ちを認める発言がないのは嘆かわしいことだ」とハダジ氏を責めた。
また、ジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)やアルヴァロ・ジアス氏(ポデモス)、メイレレス氏は、ボルソナロ氏とハダジ氏のどちらが勝っても、ブラジルは現在置かれている危機的な状況から抜け出すことはできないと、警鐘を鳴らした。
なお、この夜のグローボの討論会の視聴率は、レコルデのインタビューの2倍だったという。