ロック史上伝説のバンドのひとつ、ピンク・フロイドの元リーダー、ロジャー・ウォーターズが、9日と10日の2日連続で行われた、サッカー・クラブのパルメイラスの本拠地、アリアンツ・パルケでのサンパウロ公演で、2夜連続でブラジル大統領選の極右候補ジャイール・ボルソナロ氏を批判した。
まず、9日の公演では、曲間のトークの部分で、モニター上に「ネオ・ファシズムが世界で浮上している」という映像を流し、その代表的な存在の人物の名前をあげた。
その中にはアメリカのトランプ大統領やフランスのマリーヌ・ルペン氏、ロシアのプーチン氏の名前などがあげられていたが、その最後に「ブラジル、ボルソナロ」と赤い字で記した。
これに大観衆は賛否両論。賛成派は「エレ・ノン(彼はダメだ)」と、反ボルソナロ・キャンペーンで有名になったキャッチフレーズを叫び、一方の親ボルソナロ派は「PTヌンカ・マイス」と、ボルソナロ氏が対抗の左翼政党・労働者党(PT)を批判するときのキャッチフレーズをそれぞれ叫びあった。
普段、ネット上での攻撃的な物言いで国内では有名な親ボルソナロ派は、この夜、この報道に対してのコメント欄でもウォーターズ批判を展開していた。
ウォーターズはロック界きっての社会派のリーダーで、イスラエルでのパレスチナ人に対しての抑圧状態に反抗し、世界中のアーティストたちに同国での公演を行わないよう呼びかける運動を行っていることでも知られている。
また、代表曲「エクリプス」の最後には、照明で「ELE NAO」の文字を浮かび上がらせ、再度ボルソナロ氏を批判した。
この演出は10日にも行われたが、同日はさらに手が込んでいた。同じく、世界の極右政治家の名前を見せるコーナーがあったが、この日はブラジルのところが「政治的理由で検閲された」との表示が出てきた。それが30秒ほど続いたあとに「ブラジル、ボルソナロ」の字が出てきた。
この公演を前に、ブラジルのセルジオ・サー・レイトン文化相は、「現在のブラジルは大統領選で緊迫した状況である」ことは事前に伝えてはいたが、ウォーターズ本人は全く気にせず、世界の他の国の公演でもやっているように同じ演出を行なったという。(10日付フォーリャ紙サイトより)
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