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《ブラジル》大統領選=現状ではボルソナロ有利=16年ぶりについた大差=今後のカギは討論会参加か=ハダジはPSDB左派取り込み

10日のボルソナロ氏(Fernando Frazão)

10日のボルソナロ氏(Fernando Frazão)

 大統領選の決戦投票は、現状では7日の一次投票で有効投票の46%台の支持を得たジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)が、同じく29%台だったフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)をかなりリードしている状況だ。11日付現地紙が報じている。

 10日に発表されたダッタフォーリャの世論調査では、決戦投票においてはボルソナロ氏が有効投票の58%を獲得するという結果が出た。
 この「58%対42%」という差は、2002年のルーラ氏(労働者党・PT)対ジョゼ・セーラ氏(民主社会党・PSDB)の64%対36%以来の大差で、これを短期間のうちに逆転させるのはかなり難しい状況となっている。
 現状では、ボルソナロ氏に投票した人の97%が意志を変えておらず、ここが崩れない限り、逆転は難しい。
 一次投票後も、ボルソナロ氏の支持者が、非支持者に対して暴力行為を働くなどの事件が相次いでいる他、同氏自身も、民営化に関する発言で財界を混乱させるなど、不利になるようなことが起きてはいるが、現時点では大きなダメージには至っていない。
 さらに、かねてから不得意とされていた討論会に関しても、入院していた9月やドクターストップがかかった10月4日同様、決選投票当日までに予定されている4度の討論会も、「医師から止められている」ことを理由に欠席する可能性がある。これに関してはハダジ氏も10日に「医務室に押しかけてでも討論をしたい」とし、その姿勢を批判した。
 ただ、10日にボルソナロ氏を診察した医師たちは「同氏は15キロも体重が減っており、数日間は休養する必要あり」としており、18日の診察で、キャンペーン活動参加が許可される可能性がある。
 ボルソナロ氏は、退院後に行われた今月4日のグローボ局の討論会を欠席したにも関わらず、その放送の真裏でレコルデ局の独占インタビューを受けて既に批判されている。また、「具体的な政策も提言していないのに当選するのはいかがなものか」との世論もあることから、この件に関しての行方も注目される。
 また、9日から各政党がそれぞれ、大統領選の決選投票での支持を表明しはじめているが、現時点でボルソナロ氏に対する支持を正式に表明したのはブラジル労働党(PTB)に止まっており、支持が予想されたセントロン系の中道政党も、現時点での支持表明をためらっている。
 一方、ハダジ氏は、9日の社会主義自由党(PSOL)、ブラジル社会党(PSB)に続き、10日に条件付きだが、大統領選3位のシロ・ゴメス氏の民主労働党(PDT)の支持を獲得した。
 ハダジ氏はまた、長年政敵とされてきた民主社会党(PSDB)とも対話を求めており、「民主政治遵守」との観点で、同党左派グループの協力を得ようとしている。