ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル大統領選》ボルソナロ氏が電力公社の民営化に否定的発言=株価は一転急落し、2・8%減=経済政策、実は対抗のハダジ氏と変わらず?

《ブラジル大統領選》ボルソナロ氏が電力公社の民営化に否定的発言=株価は一転急落し、2・8%減=経済政策、実は対抗のハダジ氏と変わらず?

ボルソナロ氏の経済政策ブレーンとされているゲデス氏(中央)だが…(Fernando Frazao/Agencia Brasil)

ボルソナロ氏の経済政策ブレーンとされているゲデス氏(中央)だが…(Fernando Frazao/Agencia Brasil)

 大統領選第1次投票で得票1位となったジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)が9日夜、電力公社エレトロブラス社の民営化に否定的な見解を示した事で、翌10日のブラジル株式市場は公社株を中心に大きく下げ、サンパウロ市平均株価指数(Ibovespa)は前日比2・8%ダウンの8万3679・11ポイントでひけたと、11日付現地各紙が報じた。
 ボルソナロ氏は9日、TV局のインタビューに対し、エレトロブラス社の名前こそ挙げなかったものの、「なんでも外国資本に売り渡していいのか? エネルギー部門を中国の手に渡すって? 配電部門なら交渉の余地はあるが、発電はダメ」と語った。今日、中国資本は、ブラジル国内の民間電力会社の多くを抑えている。
 同氏の発言は、経済政策のブレーンに据えているパウロ・ゲデス氏の方針と対立している。ゲデス氏は常に、「公社民営化を積極的に行うべき」との立場をとってきた。その資金で公的債務を返済し、自らの提唱する、新しい社会保障制度改革の財源にするというのだ。
 7日の投票から一夜明けた8日と、その翌日の9日は、「ボルソナロ氏が当選すれば、公社民営化の流れも加速する」との期待感から、エレトロブラス株やペトロブラス株などが続伸していた。
 10日のエレトロブラス株の下げ幅は9・11%で、同じく公社である、ペトロブラス社やブラジル銀行の株も各々、3・24%と4・36%下げた。株価と共に為替も動き、10日のドル/レアル相場は1ドル=3・764レアルと、前日比1・4%のドル高となった。
 「ボルソナロ氏の発言は予想できた。彼もPSLも元々、公社民営化には否定的」と語るのはインスペール所長のマルコス・リスボア氏だ。
 コンサル会社MBアソシエイツの主席エコノミスト、セルジオ・ヴァーレ氏も、「同氏はずっと公社民営化反対派。短期間で自分の考えを変えはしない」と語る。
 選挙戦開始時点からボルソナロ氏は、「自分は経済には疎い。経済関係はパウロ・ゲデスに預ける」と発言してきたが、ゲデス氏が金融取引暫定納付金(CPMF、通称「小切手税」)復活を口にすると、すぐにそれを否定していた。
 ヴァーレ氏は、ゲデス氏とボルソナロ氏の関係は、持ってもあと1年だろうとし、ボルソナロ氏の公社民営化問題へのスタンスは、決選投票で対抗するハダジ氏(労働者党・PT)と変わらないと語る。
 ペトロブラス社が採っている、原油の国際価格変動に応じてガソリン価格を変動させる方針に対しても、否定的な姿勢である点は両者共同じだ。
 ブラジル紙はPTの経済政策担当者にも話を聞こうとしたが、PT側はコメントを避けた。