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《ブラジル》小頭症児の死亡率は3倍=北東部の対応施設増加なし

レシフェ市にある障がい児支援協会で小頭症児向けの運動のさせ方を指導する理学療法士(Sumaia Villela/Agência Brasil)

レシフェ市にある障がい児支援協会で小頭症児向けの運動のさせ方を指導する理学療法士(Sumaia Villela/Agência Brasil)

 妊娠中にジカ熱に感染した妊婦から生まれた子供に小頭症が多発している事が指摘され、保健省が両者の関係を正式に認定してから3年足らず。その小頭症児の死亡率は、健常児の3倍に及ぶと15日付現地紙が報じた。
 15年11月から今年7月までに確認された、ジカ熱感染が理由で発症した小頭症児の死は218件に上り、その多くは気管支や肺の炎症が死因だったという。ペルナンブコ州で小頭症児の誕生例が増えている事に最初に気づいた専門医の一人のマリア・アンジェラ・ロッシャ氏によると、小頭症児は通常の子供と比べて嚥下(えんげ)が困難な例が多く、液体や食物が気管支や肺などに入り、炎症を起こす例が多いという。
 この間の小頭症児の死亡率は、小頭症を抱えていない子供の死亡率の3倍に当たるという。
 ただし、ジカ熱が原因の小頭症児が1歳未満で死亡した例に注目した場合の死者は188人で、この間に誕生した同じ条件の小頭症児3226人の5・82%に及んだ。
 2016年の場合、1歳未満で死亡した子供の割合は全出生児の1・27%だったから、小頭症児の死亡率は4・5倍を超えている。
 小頭症児が病気にかかると通常の子供以上に重篤化しやすいため、診断や治療も慎重に行う必要がある。だが、全ての医療機関に小頭症児の特徴や対処の仕方を習得した医師がいるとは限らず、通常通りの対処後に帰宅させられて症状が悪化。再度、診察を受けた時には集中治療室の空きがなく、十分な治療を施す事も出来ず、死亡したという例もある。
 また、ジカ熱と小頭症児の誕生例増加が注目され始めたのは北東部で、小頭症児の数も一番多いが、同地域では小頭症児のケアやリハビリなどを専門的に行う施設の数は増えていないという。
 保健省の担当者によると、ジカ熱と小頭症の関係が確認された15年以降、現在まで、種々の研究が進められているが、小頭症児やその家族に対する対処の仕方は手探り状態で、既存の施設から離れた地域で暮らす家族にも必要な医療を提供するための手立てはまだまだ不十分だという。