サンパウロ州知事選候補のジョアン・ドリア氏(民主社会党・PSDB)が、ジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)への支持表明でアピールしようとしているが、これに関してPSDB内部での反発が強まっていると16日付フォーリャ紙などが報じている。
ドリア氏はサンパウロ州知事選の一次投票前から、ジェラウド・アウキミン氏がPSDBの大統領候補であるのに、人気の高いボルソナロ氏の支持者が自分を支持してくれるよう「ボウソドリア」と州民に呼びかけて、自分への投票を促すキャンペーンを行っていた。
一次投票前のキャンペーンではPSDB内で内紛が起き、アウキミン氏やドリア氏を裏切る形でほかの候補を支持したとして、サンパウロ市支部が党の大御所も含む15人を追放処分とした。これを不満としたアウキミン氏が、9日に開催された党執行部の会議でドリア氏を「裏切り者」として非難し、話題になった。
だが、ドリア氏は自身がかねてから行ってきた「反PT(労働者党)」路線を推し進めるべく、13日にはボルソナロ氏の公式な支持を得るために、リオ市のボルソナロ氏の自宅前まで行って待ち続けた。だが、会談を持つことには失敗し、その姿がマスコミに報じられた。
さらにドリア氏は15日、マスコミからの取材に対し、決選投票の対抗馬であるマルシオ・フランサ氏(ブラジル社会党・PSB)に関して「社会主義者を自身の副知事に据えたのは問題だ。議会の野党ならともかく、自身のスタッフに入れるとは」とアウキミン氏を批判した。
アウキミン氏がフランサ氏を自身のサンパウロ州知事選の副候補に選んだのは2014年の選挙のときで、当時のドリア氏はまだ実業家だった。
こうしたドリア氏の動きに対して、党内の反発はさらに強まっている。サントス市長のパウロ・アレッシャンドレ・バルボーザ氏は「ドリア氏こそ裏切り者」として、PSDBが24年間サンパウロ州で行ってきた政策を引き継ごうとしているフランサ氏を支持する意向を正式に表明した。
バルボーザ氏はフォーリャ紙の取材に、「PSDBは、(党創始者の)フランコ・モントロ氏やマリオ・コーヴァス氏、アウキミン氏らが推し進めた、社会の多数者の益を考えた社会民主主義政党であり、権力を第一とする政党ではない」と答え、ドリア氏を裏切り者とした。
PSDBのボルソナロ氏に対する方針も、大統領選決選投票は中立だ。また、党重鎮のカルドーゾ元大統領はじめ、ボルソナロ氏に強い反発を示す勢力も少なくない。
一方、対抗馬のフランサ氏は、知事選3位のパウロ・スカッフィ氏(民主運動・MDB)やPSLのマジョール・オリンピオ次期上議などの中道~右派、ならびに、PSBが左派政党の関係上、左派からも支持を得ており、「現在の政治の二極化はすぐに終わる」と15日に発言している。