ブラジル連邦上院議会は16日、電力公社エレトロブラス傘下の配電会社の民営化規定改定法案を、賛成18、反対34で否決したと、16、17日付現地紙各紙・サイトが報じた。
同法案は配電会社の民営化を容易にするためのもので、下院では既に承認されていたが、上院否決により事実上の棚上げとなった。また、否決により、今月25日に入札が予定されているアマゾナス・エネルジア社(アマゾナス州)の将来も不透明になった。
Cepisa(ピアウイ州)、エレトロアクレ社(アクレ州)、Ceron(ロンドニア州)、ボア・ヴィスタ・エネルジア社(ロライマ州)の4社は、上院否決の前に既に落札されていた。Ceal(アラゴアス州)の入札は、最高裁の判断で中断されている。
否決された法案は、アマゾナス・エネルジア社の入札に関する様々な障害を取り除く内容だったので、アマゾナス・エネルジア社にとっては大きな痛手だ。
エレトロブラス社とアマゾナス・エネルジア社間の配電業務委託契約は2016年6月までで切れている上、憲法は配電会社の無償譲渡を認めていないため、入札応募者が現れなかった場合、アマゾナス・エネルジア社は閉鎖される。
アマゾナス・エネルジア社閉鎖の場合、全ての債務はエレトロブラス社に引き継がれ、アマゾナス・エネルジア社の従業員は全員解雇となる可能性がある。
政府は、否決された法案なしではアマゾナス・エネルジア社の売却は難しいと見ているが、今月末の入札は実施される予定だ。その後の対処策は入札後に検討される。
企画省は16日、アマゾナス・エネルジア社閉鎖の際にはエレトロブラスには130億レアルの負担となり、解雇された従業員の再雇用は保障されないとした。
また、アマゾナス・エネルジア社に天然ガスや原油を供給していたペトロブラス社や同州の天然ガス供給会社Cigasへの負債返済にも影響が出る見込みだ。
否決法案には低所得者優遇の内容も…
また、法案には低所得者層への電気代を免除する内容も含まれていた。
それは、「一カ月あたりの電力消費量が70キロワット/時以下の世帯」や「家族一人あたりの世帯収入が法定最低賃金の半分を下回る世帯」への電気代徴収を免除するというもの。免除分は、国内のエネルギー開発のために電力会社が拠出する基金、動力開発勘定(CDE)からの資金を当てる予定だったが、この件も否決された。