新大統領が決まる28日の決選投票を10日後に控えた18日、ブラジル現地紙が「新政権は現テメル政権から少なくとも52の公共事業民間委託計画を引き継ぐ」と題する記事を掲載した。
同紙は、現政権が企画した計画中、少なくとも52は来年以降の入札となり、52件の事業で落札企業に求められる投資総額は780億レアルに及ぶとも報じている。
決選投票で優勢が伝えられているジャイール・ボルソナロ氏(自由社会党・PSL)は、民営化問題はスピード感をもって引き継ぐ意向を表明しており、フェルナンド・ハダジ候補(労働者党・PT)も民営化問題は優先課題としている。
「国内12空港の経営権」「南北鉄道のエストレーラ・ドエステ(サンパウロ州)~パウマス(トカンチンス州)間の開発、経営権」「Rumo社との、南部鉄道サンパウロ州区間の運営委託期間の延長交渉」の三つは、年内に入札予定の事業だが、政府内部では「来年に持ち越し」の見方も出ており、繰越事業数が55に増える可能性がある。
官民合同投資計画(PPI)特別委員のアダウベルト・ヴァスコンセロス氏は、国庫庁単独では投資に必要な資金を賄うことは出来ず、「インフラ整備には、民間投資が不可欠」と語る。
公共事業の民間委託問題が専門の弁護士レチシア・ケイロス氏は、前述の3件は論が尽くされており、入札が来年になっても大幅に遅れる事はないが、他の計画は遅れる可能性が大きいと見る。同氏は、「大統領選の勝者は誰であれ、民営化問題にどう対処すべきかを熟慮したいだろう」し、新人の多い議会では承認までに時間を要すとも予想している。
民営化問題を前進させるため、新政権は連邦会計検査院(TCU)などの監査機関との関係に配慮する必要もある。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)のルイス・ピニェイロ教授は、「監査機関は投資資金が潤滑に流れるのを妨げている」という。TCUは、本命のエレトロブラス民営化問題でも「最低入札価格が不適切」と横槍を入れている。
テメル政権は発足間もない2016年9月にPPIを発表し、既に103件の入札を実施した。これらの計画では落札後の設備投資などを企業に義務付けており、103件の計画による投資総額は2282億レアル、落札企業が国に支払う金額も464億レアルになる予定だ。今後の入札の対象となっている事業計画は88件で、政府は年内にその内の36件の入札を行おうとしている。
ケイロス氏は、「少なくとも次政権への移行期は、PPIを継続させるべき」としている。
ブラジル紙によれば、交通省は、高速道路整備計画を進める際の障壁となっている環境ライセンス規定を緩和する暫定令を、急いで準備中だという。
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