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《ブラジル大統領選》両候補、環境政策で大差=「パリ協定離脱」語るボルソナロ=「不法伐採増える」の声

サルバドール市で行われた、市民への苗木の配布(参考画像・Bruno Concha/Secom)

サルバドール市で行われた、市民への苗木の配布(参考画像・Bruno Concha/Secom)

 大統領選の決選投票を28日に控えるジャイール・ボルソナロ(自由社会党・PSL)、フェルナンド・ハダジ(労働者党・PT)両候補の環境政策は、「風力発電、太陽光発電への投資を促進する」の一点以外は大きく異なると、19日付現地紙が報じた。
 ハダジ氏の新政府方針集には「21世紀のための生態学的移行」と題した項目があり、都市部、農村部双方が快適に生活できる、俯瞰的な展望による持続可能な国家発展を目指す。また、二酸化炭素の排出量削減に努め、地球温暖化の抑制に取り組むという。
 ボルソナロ氏の政策集には「環境保護」に関する項目がなく、「環境」の文字は、農牧供給省と環境省の統合を提唱した部分に1回登場するだけだ。また、「国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)と生物多様性保全活動を行っているシコ・メンデス研究所(ICMBio)を統合し、『罰金産業』を終わらせるべき」とも言う。
 同氏の方針は、農牧畜系議員前線(FPA)からは支持されているが、環境保護団体から批判を受けている。
 最も批判されているのは「パリ協定離脱」だ。2015年に世界196カ国が結んだ(その後米国が17年に離脱)同協定は、地球温暖化の抑制を目的としている。
 ボルソナロ氏は、「パリ協定は国家主権を侵しており、ブラジルにとって非常に不利な内容」との認識を持っている。
 ロベルト・ロドリゲス元農相は、「パリ協定離脱は不合理だ。国際社会に対する約束は、大統領が替わっただけで反故にはできない。ブラジルの農業部門は損ばかりしている訳ではなく、エタノール部門では利益追求と環境問題への貢献を両立できる。米国トランプ政権が同協定を抜けた後に世界中から受けている批判を考えるべき」と説く。
 元環境相、財相で、現在は教育財団Faapの理事を務めるルーベンス・リクペロ氏は、農牧省と環境省、IbamaとICMBioがそれぞれ統合されたら、環境関連監査が弱体化し、不法森林伐採が増大するだろうと語っている。
 ボルソナロ政権誕生の暁には農牧省と環境省を統合した省への大臣就任が濃厚なナブハン・ガルシア氏は、「森林伐採ゼロなんて馬鹿げている」と語る人物だ。
 今年6~9月の森林伐採面積は昨年同期比で36%増えた。エジソン・ドゥアルテ現環境相は、「法定アマゾンの森林伐採は、国の出すサインに敏感。不法森林伐採への罰を強化する代わりに、規制、監査機関を弱体化させたら、町から警察を取り除く行為に等しい」と語った。
 他方、ハダジ氏は、2022年までに再植林などで伐採ゼロを達成すると共に、農耕地を増やす方針を打ち出している。