統一選の決選投票を前に、かつて見た事のない類の情報が行きかっている▼その一つは弊紙も報じた、大統領候補のジャイール・ボルソナロ氏の息子のエドゥアルド下議が、「最高裁を閉鎖するには伍長と兵士だけでよい」と語ったものだ。ボルソナロ氏自身も同時期(6、7月)、「最高裁判事達は汚職を正当化している」「判事数を21に増やす」などと語っていたから、「この親にしてこの子あり」だ▼高等選挙裁判事や長官への批判や脅迫も然りだ。ローザ・ウエベル長官に対してしては、「民衆は皆ボルソナロ支持者だから、投票機に細工を施し(彼が落選するような事が起き)たら、手書き投票で選挙をやり直すまで民衆やトラック運転手達が国を麻痺させるから見ていろ」と脅すものや、陸軍予備役大佐が「汚職に加担し、職責遂行能力のない役立たず」とけなすものが、ワッツアップやインターネットで流れている▼1次投票後は誰を支持するかで口論や死傷事件が起き、教会や議会、大学の寮などにナチのシンボルの鍵十字が書き込まれる事件などが続いている。また、ボルソナロ氏支援者がワッツアップで労働者党候補攻撃を計画中との記事を書いた記者への脅迫、政治に関心を持ち、左派的発言を行う人のフェイスブック改ざん、殺人課警部がいきなりインスタグラムを閲覧しに来たという話も▼インターネットでの選挙活動拡大で、テレビやラジオの放送時間は圧倒的だったジェラウド・アウキミン氏が落選したのは象徴的だが、表現の自由を奪い、検閲的行為で恐怖心を掻き立てるのはいかがなものか。今回ほど選挙後が怖いと思わされた投票は初めてという人も多いのでは? (み)