ブラジルの書店最大手のリヴラリア・クウツーラ(以下クウツーラ)が24日に民事再生の手続きを行い、出版界や産業界に大きな波紋を投げかけている。
クウツーラは1947年にエヴァ・ヘルツ氏が創業した書店で、本店はサンパウロ市最大の繁華街パウリスタ大通り沿いでコンソラソン駅前の大型商用ビル「コンジュント・ナシオナル」の中にある。
本店内には緩やかな傾斜が設けられ、ゆったりと読書ができるなど凝った内装で、カフェも併設した3階建て。DVDやCD売り場なども併設している。蔵書は国内随一で、同地の観光名所のひとつでもある。また、パウリスタ地区の「文化」を象徴する施設のひとつにもなっている。
そのクウツーラが、現在、7千万レアルもの負債に苦しんでおり、出版社への支払が半年以上滞る状態に陥っている。
2014年の同社の年商は4億4千万レアルに上ったが、現在ではネットの発達に伴う出版不景気に加え、15年からはじまったブラジルの景気後退(リセッション)の影響で、業績が悪化。同年以降の年商は30%下がっているという。
さらに、出版社からの委託販売が同社の営業業績に悪影響を及ぼし、ここ4年間で職員を40%解雇している。
同社は昨年、書店とAV電化製品を併設したチェーン店でフランスに本拠を置く「FNAC」を買収し、1億3千レアルを受け取っているが、それでも会社の業績は回復せず、この10月までに国内に存在したFNAC全店を閉鎖していた。
また、クウツーラ自体も、10月にリオにあった代表的な店舗を2店閉鎖している。
今回、民事再生の手続きを行ったことで、同社の重要店舗は存続すると見られているが、今後はアマゾン・ドットコムのような、ネットの大型書店化を目指していく見込みだという。
また、買収したFNACの跡地をどうするかなどについては不明だ。(25日付EXAME誌サイト、同日付エスタード紙などより)