7日のブラジル統一選で当選し、来年2月に連邦下院議員として就任する513人中、227人が社会保障制度改革に賛成と答えたと、25日付現地紙が報じた。
現地紙が513人の新下議に行ったアンケートによると、社会保障制度改革に賛成が227人、決めかねているが17人、回答しないが207人、反対が59人。3人には連絡が取れなかった。
同紙は、社会保障制度改革の主要ポイントである、「年金受給開始最低年齢を定める」と「公務員年金規定を一般人に対するINSSの規定と等しくする」の2点への賛否も問うた。「最低年齢設定」には179人が賛成、44人が決めかねている。211人は無回答か連絡が取れず、79人が反対だった。「公務員年金規定をINSSに等しくする」には154人が賛成、74人が決めかねている、211人は無回答か連絡取れず、74人が反対だった。
28日の大統領選決選投票で優勢が伝えられているジャイール・ボルソナロ候補の所属する自由社会党(PSL)と、ブラジル共和党(PRB)は、所属下議たちに回答しないよう通達した。
社会保障制度改革は憲法改正であるため、下院では定数の6割以上、308票の賛成が2回必要だ。つまり、今回「社会保障制度に賛成」と答えた227人に、81票上乗せする必要がある。
テメル政権は昨年来、JBSショック、連邦検察による2度の起訴受理否決などで政治力を消耗。今年2月にリオ州直接統治令を出した事で、社会保障制度改革を断念した(直接統治発令中は憲法改正ができない)。
マルセロ・カエターノ社会保障局長は、「採決できなかったテメル案からかけ離れた案になるとは思わない。ブラジルの年金制度には、『受給開始最低年齢制定』と『公務員年金規定とINSS規定の同一化』が必要」と語る。テメル案では、現行の受給開始最低年齢(女性53歳、男性55歳)を20年かけ、女性62歳、男性65歳に引き上げる意向だ。
新議員らからは、「誰にとって得か損かという話ではない。社会保障制度改革は国にとって必要不可欠」「現行の社会保障制度の維持は不可能」「私も54歳と早くから年金を受け取り始めてしまった」といった声と共に、「そうはいっても今のテメル案だけは駄目」との声も出ている。
ブラジルも高齢化が進み、社会保障制度改革は不可避だ。昨年の連邦政府の基礎的財政収支は1244億レアルの赤字だった。中央の基礎的財政収支は国庫、中銀、社会保障費の合算で、国庫と中銀の収支だけなら580億レアルの黒字だが、社会保障費収支が1824億レアルの赤字を出している。
2019年にはINSSだけで2180億レアルの赤字となり、国家公務員年金は875億レアルの赤字になるとされている。