28日、大統領選の決選投票が行われ、ジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)がフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)を55%対45%で破り、第42代大統領に就任することになった。29日付現地紙が報じている。
決選投票の結果は、ボルソナロ氏が総投票の49・9%の5779万6972票、ハダジ氏が40・6%の4703万8792票。有効投票のみ見ると、ボルソナロ氏が55・1%、ハダジ氏が44・9%だった。
今回の選挙では、白票が2・1%の248万6571票、無効票が7・4%の860万7999票。合計9・5%、約1100万票が有効票にはならなかった。さらに、「投票に行かなかった」棄権者は、有権者全体の21・3%の3140人にも及んだ。
これらの数字は1989年の民政復帰後の大統領選挙では最大となり、今回の選挙のしらけムードを象徴している。
ボルソナロ氏は15州と連邦直轄区を制した。とりわけ、南東部、南部、中西部では有権者の約3分の2が同氏に票を投じている。
ハダジ氏は北東部全州と北部のパラー州、トカンチンス州を制した。特に北東部では70%近い得票率で圧勝だったが、票田が大きな南東部で完敗したことが響いた。
今回のボルソナロ氏の勝利は、裕福な地域での支持が決め手となった。同氏は、人間開発指数(IDH)が高く、教育や保健医療その他の生活環境への評価が「非常によい」とされるところで77・36%、「よい」とされるところで66・01%の支持を獲得。逆に「悪い」とされるところでは44・5%、「非常に悪い」とされるところでは34・2%と支持が低かった。
ボルソナロ氏は42人の大統領経験者中、16人目の軍人大統領となるが、役職が大尉(キャプテン)での大統領就任は初めてとなる。また、選挙キャンペーン中に襲撃を受けた、最初の大統領でもある。
また、歴史学者のアーロン・レイス氏とジュイズ・デ・フォーラ連邦大学のクラウジア・ヴィスカルディ教授によると、ボルソナロ氏はブラジル史上初の極右大統領だという。「ジャニオ・クアドロス氏やフェルナンド・コーロル氏も保守派として知られた人たちだったが、暴力を煽った意味においてはボルソナロ氏の比ではなかった」と教授らは語っている。
ボルソナロ氏は当選後のインタビューで、「民主主義と国民の自由を守る」と約束した。その一方で、ネットでの書面ではマスコミを攻撃し、PT批判を行うなど、キャンペーン時と変わらぬ姿勢だった。