《ブラジル》三つの改革で財政健全化目指す=新財相確実のゲデス氏語る
ボルソナロ新政権(自由社会党・PSL)の財相就任が確実視されている、エコノミストのパウロ・ゲデス氏は28日、新政権の経済政策は、支出を抑え、財政健全化を目指す3大改革が柱になると語ったと、28、29日付現地紙・サイトが報じた。
「最初は『社会保障制度改革』。2番目は『利子を生み出す国家債務の解消』だ。これは赤字の垂れ流しとなっている公社の民営化を行い、実現する。ブラジルが毎年、巨額の利子を払い続ける事は全く理にかなわない。3番目に『無駄の多い国家機構の改革』だ」と、ゲデス氏は語った。「累積負債ゼロを目指す。1年での達成も、決して不可能ではない」と語る同氏は、経済政策は散発ではなく、まとまった形で出されるとした。
ゲデス氏はさらに、「税制システムの簡素化と減税も目指す。2~3年で1千万人分の新規雇用を創出するため、労働者の給与に直接かかる税金は廃止。規制は公正に行い、インフラ部門への投資の枠組みを定める」と語った。
新政権の官房長官が有力視されている、オニキス・ロレンゾーニ下議(民主党・DEM)も、29日朝、ラジオ局のインタビューに答え、「議会には、年明けにも社会保障制度改革法案を提出することになるだろう」と語っている。
ゲデス氏は、対外政策として、「段階的市場開放」の方針を示し、ブラジルとアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイが加盟しているメルコスール(南米南部共同市場)を、「経済的な実利ではなく思想で結びついたもの」と批判。「メルコスールは次期政権にとっての優先事項ではない。メルコスール諸国との関係を切りはしない。世界中の国々の交易を行う」と語った。
経済界の専門家たちからは、「新政権は、低インフレ、低金利と、現政権からポジティブな要素も受け継ぐが、1270万人失業の実態解消は難しい挑戦になる」、「インフレは低いが、それは経済の停滞という好ましくない理由による」、「雇用市場の停滞が原因で、多くの国民が現状を悲観している」などの声が出ている。
ボトランチン銀行の主席エコノミスト、ロベルト・パドヴァーニ氏は、「失業増加の他にも、汚職への嫌気、公共サービスの質の低さなどで、国民が政界一新を望んだ事が、選挙に影響したのでは?」と語っている。