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《ブラジル》5歳未満の死亡633人=基準値超える大気の汚染で

大気汚染の影響で灰色に見えるサンパウロ市の上空(参考映像、Rafael Neddermeyer/Fotos Públicas)

大気汚染の影響で灰色に見えるサンパウロ市の上空(参考映像、Rafael Neddermeyer/Fotos Públicas)

 29日発表の世界保健機関(WHO)のデータによると、2016年に大気汚染が原因で死亡した5歳未満のブラジル人の子供は最低633人いたと、29、30日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
 16年の場合、世界中で健康被害を与える程汚れた大気にさらされていた子供や青年は、同年齢層の98%に及ぶ18億人いた。大気中の有害物質は呼吸器系疾患を誘発し、死因にすらなる。
 また、汚れた大気は胎児の成長にも影響し、早産や死産を招きうる。これは、ガス交換を通じて血流に乗った汚染物質が妊婦の心臓や胎盤に至るためだ。汚染物質が心臓や血管に至れば、胎児でも血流障害や心筋梗塞を起こしうる。また、乳幼児は免疫機能が未熟で体力もないため、汚染物質の影響回避が難しく、アレルギーや喘息、肺炎、がんも誘発しやすい。
 大気汚染にさらされると、心臓疾患などの慢性病も起きやすく、神経の発達や認知能力にも悪影響を及ぼす。子供は汚染物質が集中しやすい床面近くで生活し、呼吸頻度も高いため、大人以上に危険な状態にいる。
 また、薪や石炭で調理し、燃料油で暖房や照明を行う家庭は、汚染物質や高温にさらされる危険度が6倍になる。世界では30億人がこのような環境下にいるという。
 30日からスイスで始まる「大気汚染と健康に関する第1回国際会議」では、高所得国では、5歳未満で健康被害を及ぼす程汚れた大気にさらされている子供は52%だが、低・中所得国では98%の子供が汚染した大気にさらされている事も報告される。アフリカや中東では100%、ブラジルなど、低・中所得国が多い米州では、87%の子供達が汚染度の高い大気にさらされている。
 汚れた大気にさらされた事が原因の死者は世界中で380万人とされ、マラリアや結核、エイズの犠牲者を上回る。WHOによれば、内40万人が5歳未満だった。
 ブラジルでは今も人口の1割が薪で調理するなど、汚染物質にさらされる人が多い。サンパウロ大都市圏では、大気汚染による気管支疾患や心血管障害、肺がんによる死者が2025年までに5万1367人、公的医療機関入院患者は3万1812人と試算されており、先の会議でも発表された。