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県連故郷巡り=アララクアラ、ノロエステ巡訪=(9)=水力発電所の〃建設秘話〃=市の発展に中国国有企業の陰?!

建設途中の居住区域

建設途中の居住区域

 イーリャ・ソウテイラ発電所は、66年には土木作業が開始され、67年から労働者受入れのための居住区域として約6千戸の建設が進められた。そこへ68年に労働者が住みはじめて、ダム建設が本格化すると共に町が誕生した。
 居住区域では、単純労働者から技師まで1~6の等級に分けられ、それにより住環境が異なっていた。労働者数は69年には1万4200人に達し、建設がピークだったと見られる72年には約3万2千人近くに上った。半径100キロ圏内の出身者が7割以上を占めたが、全伯各地から労働者がやってきた。
 同市ホーム・ページでは、建設秘話として当時の労働者の生活を以下のように紹介している。
 《居住区域は共同住宅(コンドミニオ)と同様に周囲からは隔離されており、部外者の出入りは固く禁じられた。サンパウロ州電力公社(CESP)やその請負会社関係の従業員しか居住できず、訪問客も厳しく制限されていた》
 さらに《居住者は飲酒が禁止されたうえ、日中であっても睡眠中の夜勤労働者を妨害しないよう、静かに過ごすよう指導された。午後10時にはサイレンが鳴り、それはいかなる騒音や不適切と考えられる行動を慎まなければならぬという合図であった》という。
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 イーリャ・ソウテイラは、もともとはペレイラ・バレットの一区だったが、91年に自治体に昇格。76年にはジューリオ・デ・メスキータ・フィーリョサンパウロ州立大学(UNESP)校舎が開設され、発展をもたらした。現在、市人口は約2万6千人。近隣24市ではアラサツーバ、ビリグイに次ぐ、第3の経済規模を誇る。00年にはサンパウロ州保養地の一つに認定され、観光産業も盛んだ。
 市街地には、発電技術関連の研究所が立ち並ぶなど、サンパウロ州電力公社を中心とした関連施設が経済の主力柱となっているようだ。
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 今年、同発電所は稼動開始から45年を迎えるが、15年には中国長江三峡集団(中国国有企業)がジュピア発電所と合わせて30年間の運営権を落札していた。その額は138億レに上り、同集団では過去最大のM&Aとなった。
 17年から二期に分けて工事が行われ、両発電所の34発電機の近代化が進んでいる。この事業により250人の直接雇用が創出され、中国人技術者10数人を含む300人がこの事業に関与しているという。
 設備近代化に伴う投資額は約30億レ。ブラジル地理統計院によれば15年の同市GDPは約5億2730万レだから、その6倍に匹敵する巨額の投資だ。
 ブラジルのイタイプー発電所を凌ぐ、世界最大の三峡ダムを建設管理する同グループ――かつてはチエテ移住地という日本移民集団地として始まった地域だが、今では中国政府をバックにした巨大企業が経済発展を下支えしているようだ。(続く、大澤航平記者)


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 県連故郷巡りではバスの車窓から、観光局勤務というガイドが案内をした。好奇心旺盛な参加者からは、「このダムの落差はどれくらい」「アラサツーバ、ビリグイに次いでこの辺りでは第三の経済規模と聞くけど、何が主力産業なの」など次々と質問がぶつけられていた。観光局勤務なら知っていてしかるべき質問内容が多かったが、ガイドはたじたじ。「後ほど確認します」と一時しのぎをし、結局は質問には答えきれなかったよう。参加者からは「保養地なのに休日だからといって施設や店も閉まっているし、観光局で働いているはずのガイドが、こんなに何も知らなくて大丈夫なの」と冷ややかな声も漏れ聴こえていた。