次期大統領に当選したジャイール・ボルソナロ氏(自由社会党・PSL)と、同氏の経済政策ブレーンのパウロ・ゲデス氏は10月30日にリオ市で会合。その後、ゲデス氏は、財務省、企画省、産業貿易サービス省(Mdic)を統合し、「経済省」(仮称)を新設する構想を発表した。10月31日付現地各紙が報じた。
同省の大臣には、ゲデス氏が就任する。予算405億レアル、職員6万7919人のスーパー省庁だ。
ゲデス氏は3省統合の目的を、「ブラジル政治にはびこる〃ロビー活動〃や、〃既得権益保護主義〃を一掃し、国内産業の健全な発展を促すこと」と語った。
同氏はMdicを、〃第一次大戦時から続く保護主義の砦〃になぞらえ、「減税や、煩雑な役所手続きの簡素化、国内産業の統合促進による競争力の強化という本来の役割ではなく、既得権保護主義や、助成金たかりの温床となり、国内産業発展の妨げになっている」と酷評した。
ゲデス氏は、この経済省設立と、農牧供給省と環境省の統合は、ボルソナロ氏の基本政策に含まれており、選挙中から告知されてきたと強調した。10月24日に当のボルソナロ氏が行った、「Mdicは残してもよい」の発言とは矛盾するが、たいしたことではないと語っている。
財務省、企画省、Mdicの3省は1990年から92年までのコーロル政権期に統合されて、ゼリア・カルドーゾ・デ・メロ氏がその任に就いていた。92年末にコーロル大統領が罷免された3日後には再び3省に分割され、今日に至っている。
3省統合に対する工業界の反発は早かった。ゲデス発言の同日、全国工業連合(CNI)のロブソン・デ・アンドラーデ会長は、「工業界は国内総生産(GDP)の21%を占め、連邦税の32%を納めている。その重要性を考慮すれば、財務省に統合された省庁ではなく、工業界の諸問題対応に特化した省庁を存続させるべき」との声明を発表した。ブラジル繊維工業界(Abit)のフェルナンド・ピメンテル会長も、「工業界を軽視しては、ブラジルは立ち行かない。(3省統合は)誤った判断」としている。
しかし、ゲデス氏は、「政治家にロビー活動をする業界はデゾネラソン(企業から国への社会保障費納入免除制度)を得て、ロビー活動をしない業界はRefis(滞納している税の長期返済)に走る。それが、税額を高くさせている原因の一つ。消費者は価格上乗せの被害を受け、商品の国際競争力も下がる。税金を安くして、各産業部門に公正に課されるようになれば、ロビー活動など必要なくなる」と3省統合政策の必要性を訴えている。