ブラジルの上下水道整備促進のための調査、研究機関、トラッタ・ブラジルの調査によると、上下水道整備が国全体に行き届いていないせいで、ブラジルは年間563億レアル分の損失を被っている事が分かった。7日付現地紙が報じている。
「経済的損失」には、失われた雇用、遅れた工事、支払われなかった税金、価値が落ちた不動産、観光客を呼べなかった分の損失などが含まれる。
水の衛生は、国民の健康状態にも影響する。上下水道の不備のせいで、労働者が仕事を休み、子供たちが学校を休む事で失われた、国の生産性も計算された。
全ての要素を考慮に入れると、失われた利益は761億レアル分になり、上下水道をいきわたらせ、保持するためにかかったはずの費用198億レアルを引くと、損失は563億レアルになる。
2004年に清潔な水を利用できた人口比率は80・6%だったが、12年後の2016年も83・3%に過ぎない。
下水処理施設が利用できる人口比率はもっと酷く、2004年は38・4%、2016年は51・9%だった。この指数は地域格差が大きく、北東部9州は26・8%、北部7州は10・5%だった。
衛生設備の整備は各自治体の責任だが、多くの自治体は財政状態が悪いため、政府は上下水道設備の運営民営化の道を探ろうとしているが、ボルソナロ次期大統領は環境保護への意識が弱い。むしろ、支援団体の要請に応えて環境保護基準を弱めたり、監査機関を弱体化させるような政策を口にしている事は、今後の上下水道設備拡大への不安材料といえる。