ジョアン・ドリア次期サンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)が8日、同党党首のジェラウド・アウキミン氏と昼食会を行い、ドリア氏がPSDBの実権を握っていくことになることが確認された。これでジャイール・ボルソナロ次期大統領への支持も表明しやすくなった。9日付エスタード紙が報じている。
ドリア氏はサンパウロ市内のブラジル料理店でアウキミン氏と2時間ほど話した後、「アウキミン氏は相変わらず広い心と高い志を持った人で、尊敬と賞賛に値する」と答えた。これは、党の将来についてのドリア氏の意向を、アウキミン氏が呑んだことを意味するようだ。
アウキミン氏が大統領選で敗れた後、党内部では責任を問う声があがっており、昨年12月に就任した同党党首の座に関しても、「2年の任期を待たずに辞職すべき」と突き上げる勢力も出てきていた。アウキミン氏は既に、党規に従って来年5月に党大会を行う意向を示しており、そこで党役員の選挙が行われる見込みだ。同党役員は22日にブラジリアで会合を開き、党大会の日程を話し合うことになっている。
ドリア氏に近い筋によると、ドリア氏は既に、テメル政権で都市相も務めたブルーノ・アラウージョ下議を次の党首に推す意向のようだ。
また、ドリア氏は「PSDBは正式にボルソナロ氏の新政権を支持するとは言わない」が、「ブラジルを支援するという点では合意に至った」と語った。これは、国政でボルソナロ氏の政権が打ち出してくる政策をPSDBが支持する可能性が出てきたことを意味する。
PSDBは、カルドーゾ元大統領をはじめとする党重鎮に、「党本来の社会民主主義とは相容れない」として、ボルソナロ氏を嫌悪する人たちが多い。アウキミン氏も大統領選のキャンペーン時に、政見放送で同氏への徹底批判を行っていた。そういった経緯もあり、党幹部の間では、ボルソナロ政権では野党に回りたいとする意見が強い。
だが、党内全体では必ずしもそうではない。ドリア氏は9日に、10月の知事選で当選を果たした、リオ・グランデ・ド・スル州のエドゥアルド・レイテ氏、マット・グロッソ・ド・スル州のレイナウド・アザンブージャ氏と共に話し合いを持っており、ここで、ボルソナロ氏への接近の意志が確認されている。
ドリア氏は「ボルソナロ政権を支持するのではなく、ブラジルを良くするための勢力に加わりたいのだ」と語り、レイテ氏は「今は〃政界の主役〃の座にこだわっている場合ではない」と述べた。
ドリア氏はサンパウロ州知事選の一次投票前に、大統領候補にアウキミン氏がいるにもかかわらず、「ボウソドリア」というキャンペーンを行ったことなどで、党サンパウロ州支部で反発を呼び、アウキミン氏自身からも「裏切りもの」と呼ばれていた。