エドゥアルド・ヴィラス・ボアス陸軍総司令官が11日付フォーリャ紙掲載のインタビューで、「もし、ルーラ元大統領に人身保護令が適用されていれば、軍事介入の可能性があった」と発言して物議を醸している。
ヴィラス・ボアス総司令官の発言は、同氏が4月3日の夜行ったツイッターでの発言の真相についてのものだ。
その翌日は最高裁が、収賄などの容疑で既に2審目も有罪となったルーラ氏に人身保護令を適用するか否かの審理を行うことになっていたが、事前予想では判事投票はかなりの接戦だった。そこで同氏は「軍は国民と同じように懸念している。司法が本来の役目をしっかりと果たすことを望む」とツイートし、物議を醸した。
ヴィラス・ボアス氏は今回の取材で、「あの頃の軍は、ギリギリの状態におり、下手をすると、司令部による抑制が効かなくなる可能性さえあった。なにしろ、退役軍人の中には〃実力行使〃を言いはじめる人がいたから。彼らの発言には影響力がある。無論、軍が他の機関の働きに介入することがないよう配慮したが、私のあのツイートがなければ、軍内部を止められなくなっていたかもしれない」「あのツイートは20時20分に行ったんだが、(幸いにも)グローボ局の20時台のニュースが話題にしてくれた」と語った。
この発言は、「やはり軍事クーデターを示唆するものだったのか」として、一部で強い反発を呼んでいる。労働者党(PT)のグレイシ・ホフマン党首は「これで、ルーラ氏の逮捕が政治ドラマだったことがわかった。〃ギリギリ〃だの〃止められない〃だの言うが、決めるのは判事で、軍ではない」と不快感を表明した。
結局、判事投票は、どちらに転ぶか判明していなかったローザ・ウェベル判事の票でルーラ氏の服役が決まったが、「軍に怯えた決定なのでは」とする声もあがっていた。
ヴィラス・ボアス総司令官はこの取材の中で、「私が就任したのは2015年2月。そのときはジウマ氏が大統領罷免の危機を叫ばれ始めた時期だったが、これまで軍事介入の必要を感じたことはない。唯一、モウロン将軍がその可能性を口走り、小さな議論を起こしたことがあったが」と、次期副大統領が2015年に起こした騒動に触れながら語った。
また、同司令官はジャイール・ボルソナロ次期大統領について、「彼は軍の出身ではあるが、現在は軍人というより政治家だ」とし、「大統領に就任するからといって、軍事政権が戻ってくるわけではない」とした。
だが、「大統領と軍の接近は避けられないのでは」との質問には、「そうならざるをえないし、それを望む国民もいる」と答えている。