ジャイール・ボルソナロ次期大統領は13日、次期国防相に陸軍退役軍人のフェルナンド・アゼヴェド・エ・シウヴァ氏を指名した。14日付現地紙が報じている。
ボルソナロ政権は、陸軍大尉(キャプテン)の経歴のあるボルソナロ氏はじめ、元陸軍大将のアミウトン・モウロン副大統領、同じく元陸軍大将のアウグスト・エレーノ大統領府機関保安局(GSI)長官と、軍出身者が目だっている。宇宙飛行士で科学技術相に指名されたマルコス・ポンテス氏も空軍中佐だ。アゼヴェド氏の閣僚正式指名は、それらに次ぐものとなる。
アゼヴェド氏はエスタード紙の取材に対し、「ボルソナロ氏が大統領になっても、軍政が戻って来るわけではない。軍は政治とは遠いところにある」として、軍事政権復帰を否定している。
ボルソナロ氏自身は、アゼヴェド氏を指名した理由を、「政界と仕事をした実績を評価した」としている。アゼヴェド氏は穏健で柔軟性があるため、司法、立法、行政の三権のいずれとも良好な関係を築いてきた。コーロル政権では大統領付の護衛隊長をつとめ、ジウマ政権では2013年10月に、リオ五輪の公的コンソーシアムであるAPOの委員に任命されている。また、ハイチ地震後は、平和維持活動を担当する国連ハイチ安定化ミッションの長もつとめた。現在は、ジアス・トフォリ最高裁長官の護衛役をつとめている。
また、同氏はボルソナロ氏とは軍学校時代以来の長い親友でもある。
だが、このアゼヴェド氏の指名は、海軍や空軍の将官らの間にしこりを生じさせた。エスタード紙によると、エドゥアルド・ヴィラス・ボアス陸軍総司令官とニヴァウド・ロサット空軍総司令官は、国防相にエドゥアルド・レアル・フェレイラ海軍大将を推したという。だが、レアル氏に別の思惑があったために、アゼヴェド氏が指名された。これにより、海軍と空軍が三軍の長老優先とのしきたりに反すると不満を示しているという。
この他の人事では、社会経済開発銀行(BNDES)次期総裁に、ジョアキン・レヴィ氏が正式に決まった。レヴィ氏はジウマ政権の財相などをつとめた人物で、当時から支出削減路線で有名だった。同氏の起用は、シカゴ大学の先輩であるパウロ・ゲデス次期経済相の願いで実現した。
労働省の廃止は撤回へ
また、ボルソナロ氏は13日、当初、廃止する予定だった労働省の統廃合を断念したと発表した。同省が廃止後にどこに統合されるのかは明言されていなかったが、国民をはじめ、各方面で強い反発が起こっていた。