サンパウロ州海岸部グアルジャー市の三層住宅に絡む収賄疑惑でルーラ元大統領が2審有罪となり、4月7日に収監されて以来初の証人尋問が、14日にクリチーバ地裁で行われたと、15日付現地各紙が報じた。
この尋問は、アチバイア市の別荘改装に絡む収賄、資金洗浄の嫌疑に関するものだ。ルーラ被告は、ルーラ研究所用地関連、アンゴラ原発での連事業関連、スウェーデン製戦闘機購入関連での収賄、資金洗浄疑惑でも被告となっている。
大型汚職捜査ラヴァ・ジャット(LJ)作戦関連で、一審がクリチーバ地裁扱いとされた疑惑は「グアルジャー」「アチバイア」「ルーラ研究所」の3件だ。LJ担当判事はセルジオ・モロ氏だったが、ジャイール・ボルソナロ(社会自由党・PSL)次期政権での閣僚入り内定後、ガブリエラ・ハルチ判事に担当が変わった。ルーラ氏が証人尋問を受けるのは収監後初で、担当者交代後初の直接対決ともなった。
ほぼ3時間に及んだ尋問の中、ルーラ被告は、「嫌疑には全く身に覚えがない。検察の仕組んだ茶番で、自分はその犠牲になった」と語った。検察は、建設大手のOAS社とオデブレヒト社が、ルーラ被告への賄賂として、およそ100万レアルに及ぶアチバイアの別荘の改装費用を負担したと主張している。
書類上の別荘の名義はルーラ被告ではなく、企業家のフェルナンド・ビッター氏となっているが、同氏も一連の疑惑の共犯者として被告になっている。同疑惑の容疑者は13人を数える。
ハルチ判事による「何の嫌疑がかけられているか自覚していますか?」との問いかけにも、ルーラ被告は「いいえ。私は例の別荘の所有者ですか」と逆質問。ハルチ判事は「それに答えるのは貴方であって、私ではない」と応酬した。ルーラ被告が逆質問をやめないため、ハルチ判事が「そんな態度を続けるなら、問題になります」と諌める場面も見られた。
アチバイア別荘改修に関しては、元オデブレヒト社社長のマルセロ・オデブレヒト氏も、元OAS社長のレオ・ピニェイロ氏も「ルーラ被告への見返りとして工事を行った」と証言している。また、ピニェイロ氏は「別荘はルーラ被告の所有」とも証言しており、ビッター被告は、「ルーラ被告夫人の故マリーザ・レティシア氏が、改装工事に指示を出していた」と証言している。
ルーラ被告は嫌疑を終始否定し、「LJ作戦で報奨付供述を行った闇為替ブローカーのアルベルト・ユセフ被告とモロ判事は友人だったのでは」とも発言。ハルチ判事が「いい加減に」と、制止する場面もあった。
アチバイア関連裁判はこれで判決直前の最終弁論前の補足手続きを残すのみとなった。また、ルーラ研究所用地関連裁判は、判決前の全ての手順は終了しているが、モロ判事の交代などもあり、判決は来年に持ち越される見通しだ。
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