ボルソナロ次期政権(社会自由党・PSL)は、16年にテメル政権が成立させた歳出上限法を遵守するために、4年間で1488億レアル、1年あたり372億レアルの基本支出削減を行わなくてはならないと、21日付現地紙が報じた。
歳出上限法はテメル政権発足直後に成立した。2018年度の教育、医療部門は例外だったが、「各部門の予算は、前年度予算にインフレ率をかけた分を上限とする」というものだ。372億レは国内総生産(GDP)の0・5%に相当する。
増税をせずに政府の収支のマイナス分をゼロにするため、歳出削減を行う事は、ジャイール・ボルソナロ次期大統領の公約だ。補助金の抑制と社会保障改革を行う事は、次期政権経済政策班による歳出削減策の中心をなす。社会保障改革による歳出削減は一過性のものではなく、歳出削減効果は継続する。
また、公務員の給与増額調整や、2020年以降の法定最低賃金設定方法の見直しも、今後の歳出削減策の一つだ。
次期政権の経済政策が功を奏し、景気が回復すれば、税収も増え、収支改善は進む。しかし、歳出上限法では、歳入が増え、収支が改善することとは別の問題として、歳出を抑えなくてはならない。人件費など、政府の義務的支出はインフレ率以上に増大している。
来年中に社会保障改革さえ行えれば、支出削減効果だけでなく、市場の政府への好感も継続するはずと、経済政策班は期待している。
2019年の基礎的収支の赤字額は1千億レアル以下になるだろうとデータは示しているが、歳出上限法を守れるかどうかはまた別の問題だ。経済政策班の一人は、「投資家や経済アナリストたちに、『ブラジルの負債はこれから減っていく』ことを納得し、信頼してもらうためにも、上限法の遵守は重要」と語る。
独立監査院(IFI)のフェリペ・サルト所長は「(ゲデス氏は1年間で赤字解消と言うが、)社会保障改革に成功しても、政府の単年度収支が来年1年で黒字化することはない」とし、収支が黒字化するのは早くても2023年からとの見解を示した。
収支改善には民営化が鍵
歳出削減とは関係ないが、国庫を潤し、収支を改善するための重要事項として、公社民営化問題がある。パウロ・ゲデス次期経済相は20日に、民営化推進局の新設を明言した。同機関は、公社が所有する不動産や建物などの資産売却などを統括する。
最大公社ペトロブラス社の動向も、連日、マスコミの関心事となっている。19日に同社次期総裁就任が発表されたロベルト・カステロ・ブランコ氏は、「今は民営化よりも、岩塩層下油田の採掘への投資計画に集中したい」と語っている。