サンパウロ市リベルダーデ区のビザ代行取得業者「お仕事.com(ドットコム)」社が20日、東洋街の熟連クラブ会館で四世受け入れ制度についての説明会を開催した。当日は四世や同制度に関心を持つ人など約70人が集まった。ブラジルで3人目の『四世ビザ』取得者となる予定のデヴィド・ウェズレイ・コスタさん(28)も参加した。また、「J‐Test実用日本語検定」の説明や、年齢制限、家族帯同不可などの規則に反対する署名も行なわれた。
コスタさんは21日に在サンパウロ総領事館に在留資格認定証明書などの必要書類を提出し、うまく行けば来週ビザを受け取る予定。難関といわれる「サポーター」に関しては、日本人の知人がなってくれたという。
同館ではすでに藤本アレックスさんに四世ビザを発給(14日付既報)、ブラジリアの大使館でも出されており、コスタさんは3人目となる予定。
4歳から小学校卒業まで在日していたコスタさんは「ブラジルの文化や人々と考え方が合わないと感じており、ずっと日本に帰りたいと思っていた」と語った。コスタさんはインターネット上で日本人と交流を続け、友人や恋人も日本にいる。
コスタさんは以前から三世の在留制度などについて調べ、必要な書類を予想していた。昨年には日本語能力検定N3を取得していたという。「ほかにも祖母が亡くなった際の書類を調べてグーグルで地名を検索して、その市役所にメールを送って必要な書類を送ってもらったり。そういった書類の調査や取り寄せに4ヵ月はかかった。人によってはもっと時間がかかると思う」と述べた。
同制度の利用条件については、年齢制限と家族帯同不可という規則に「厳しすぎる」と反対。「日本では外国人労働者を増やそうとしているが、日本で育った人が多い四世であれば適応も早く、二、三世の在日ブラジル人と日本間の橋渡しもできるはず。年齢制限や家族帯同など、もう少し条件を良くしてほしい」と意見を述べた。
同イベントでは「お仕事.com」社代表のコリ・パッソスさんから同制度のビザ取得のために必要な書類、手順などの説明が行なわれた。集まった四世からは同制度の特徴である「日系四世受け入れサポーター」についての質問が多く寄せられた。
イベントに参加した株式会社小西産業(滋賀)の小西博敏さん(二世、49)は「同制度の難解な規則のため理解が進んでいない」と参加理由を語った。
同社は日系二、三世社員約千人の派遣事業を行っている。社員の中には四世の子弟を持つ人も多いそうだ。「日本で生まれた四世が両親と離れて一人だけ『帰国』するような可哀想な場面も見てきた。今回、四世にも訪日する制度ができたのは良いことだと思う」と同制度について語った。
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「お仕事.com」社の日系四世受け入れ制度の説明会には、はるばるマトグロッソ・ド・スル州カンポ・グランデ市のビザ取得代行業者、レイナルド・バルボーザ・トーゴエさんも出席していた。大きな日系社会を持つ同地でも、毎日のように四世が相談に来るという。「この制度は複雑で、年齢制限や家族帯同不可、日本語能力の制限もある。日本語能力の制限は必要だと思う。ただし、これだけの条件を乗り越えても、与えられた滞在期間は5年間だけ。不満を持つ人も多いし、しばらくしたら要件を換える必要が出てくるのでは」と強く願っていた。実際に四世ビザで日本に行った人が良好な実績を積めば、滞在条件が緩和される可能性がある。今が日系四世の踏ん張りどき?