ジャイール・ボルソナロ次期大統領(社会自由党・PSL)が教育相にモザルチ・ネーヴェス・ラモス氏を指名しようとしているとの情報が21日に流れ、下院の福音派グループからの猛反対が起こり、変更を余儀なくされた。理由はモザルチ氏が、ボルソナロ氏が推進する「政党なき学校」の反対者であるためだ。22日付現地紙が報じている。
ボルソナロ氏はかねてから、アイルトン・セナ財団会長で歴史的F1レーサーの実姉でもあるヴィヴィアーネ・セナ氏と教育相就任の話を進めてきた。これは、PSLの次期下議でジャーナリストのジョイセ・ハッセルマン氏の推薦があったためだ。だが、ヴィヴィアーネ氏が教育相就任を固辞した。
そこで、その代わりとして白羽の矢を立てようとしたのが、同財団理事のモザルチ氏だった。同氏はペルナンブッコ連邦大学学長や同州教育局長(2003~06年)、非営利の教育団体「全ての人に教育を」の会長(07~10年)などを歴任し、教育界で高い評価を得ている。また、同団体の取り組みはマスコミでも注目され、2008年には、エポカ誌の選ぶ「ブラジルで影響力のある100人」にも選ばれた。
モザルチ氏もジョイセ氏の推薦だった。モザルチ氏に関しては、テメル大統領も2016年に教育相への打診を行っていた。ジョアン・ドリア氏も、サンパウロ市市長に当選した際、教育局長就任を打診している。
モザルチ氏は先週、オニキス・ロレンゾーニ次期官房長官とも話し合いを行っており、22日にボルソナロ氏と会合後、教育相への就任内定と進むはずだった。
だが21日に、「教育相にモザルチ氏」との情報が漏れ、メディアに報道されてしまったため、ボルソナロ氏の支持基盤である福音派から反対の声があがった。
特に、「学校内での政治や性教育を禁じる」ことなどを定める「政党なき学校」法案を通過させようとしていた下院での反対が強く、「モザルチ氏は我々の求める性教育のイデオロギーを持たない」「モザルチ氏は左翼だ」などの声が議員たちから次々にあがった。
この反応を受け、ボルソナロ氏は22日夜、ツイッターで、「教育相はまだ決まったわけではない」との声明を出すに至った。
ボルソナロ氏はモザルチ氏に代わる教育相の候補を探しはじめ、22日には有力候補として連邦検察庁捜査官のギリェルメ・シェルブ氏の名があげられた。同氏は教育サイトの運営者で、「政党なき学校」の推進者だ。