ブラジル労働省は21日、10月度の全就労・失業者台帳(Caged)のデータを発表。それによると、10月は正規雇用が5万7733人分増えたと、22日付現地各紙が報じている。
これは、7月から4カ月連続の正規雇用増ではあるが、市場関係者が期待していた6万5千人増を下回った。また、8月は11万9千人、9月も14万4千人と、2カ月連続で10万人以上増えた事を考えれば、雇用拡大ペースは鈍化した。
テメル政権(民主運動・MDB)は雇用関連の数字に敏感になっている。テメル大統領自身が外遊先のチリから、「10月は5万7千人分の正規雇用が増えた。今年10月までの累積は79万人増で、2・09%増えた。ブラジルは正しい道を歩んでいる」とツイートしたほどだ。
なお、同大統領のツイートでは言及していないが、「2・09%アップ」は、「昨年同期(1月~10月)の累積と比較して」という意味だ。
正規雇用は単純に5万7千人増えたのではなく、127万9502人の新規の正規雇用と、122万1769人の解雇の差し引きだ。また、昨年11月からの累積では44万4483人の正規雇用増となる。
10月の結果を八つの分野別で見ると、6部門で正規雇用が増大した。雇用拡大が最も大きかったのは「商業部門」で、3万4133人増えた。2番手には、2万8759人増だった「サービス部門」が続く。これらの部門は、9月も正規雇用増を牽引した。
残る4部門は、「製造加工業」7048人増、「土木建設業」560人増、「鉱山採掘業」377人増、「公益事業」268人増だった。
他方、「農牧畜業」は1万3059人分、「行政管理部門」は353人分、正規雇用が減った。農業部門の中では大豆栽培と、種子生産部門での減少が大きかった。
新規の正規雇用就業者の平均月給は1528・32レアルで、昨年10月と比べて0・66%上昇(インフレ調整済み)した。
昨年11月発効の改正労働法で定められた、短時間、または少ない日数での雇用「インテルミテンテ」は4844人分増え、時間契約(パルシアル)も2218人分増えた。
インテルミテンテ契約は、人手が足りない時だけ労働者を呼び出し、働いた分だけ給与を支払う形態で、サービス部門や商業部門で用いられる事が多い。パルシアル契約は、同じ職務の正規雇用者と同じ時間給が払われるが、「週に30時間以内」または「週に26時間+残業6時間以内」という制限がある。