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チッチに「遊び采配」のすすめ

チッチ氏(Fernando Frazão/Agência Brasil)

チッチ氏(Fernando Frazão/Agência Brasil)

 ベスト8止まりで終わったサッカーのW杯ロシア大会の後、セレソンは現状で6連勝を続けている。数字だけで見ればいい結果を残しているように見えるが、コラム子はこの試合内容があまり好きではない▼なぜか。それはこれらの勝利が、W杯のときとほぼ変わらない陣容でのものだからだ。出場選手も、試合でのフォーメーションもほとんどW杯のときのもの。いや、もっと言ってしまえば、ロシア大会前の南米予選のときから同じだ▼今は別に大きな大会があるわけでなく、単なる親善試合であるから、特に勝ち負けの結果も求められていない。そういうときだからこそ選手の招集など、大会に入れば呼べなくなるような類の若い選手をもっと試しても良いのに、それをやらない。それどころか、「ロシア大会後はもう引退だろう」と思われていたタイプの選手にも召集がかかり続けており、「2022年に向けて、何か切り替わったの?」とポカンとしているファンも少なくない▼この間、次の中盤の要になるべきアルトゥール(バルセロナ)や、ガブリエル・ジェズスのライバルになるべき21歳のストライカー、リシャルリソン(エヴァートン)の台頭はあったし、「なぜ召集しない」と言われ続けていたアラン(ナポリ)などが結果を出した。だが、コラム子に言わせれば、彼らの活躍は現状のクラブ実績から考えれば「今のセレソンで活躍していなければ困る」レベルの話であり、意外性は全くない。コラム子としては、現状で召集されているレギュラー、準レギュラーの選手の規模を半分くらいにして、その分、新しい選手を招集して「誰がセレソン選手として機能しそうか」をもっと積極的に試してほしい▼事実、他の国の代表はそのようなことをやっている。欧州ではつい先日まで、「UEFAネーションズ・リーグ」という代表の大会をやっていたが、レギュラーを完全に固定させて戦うようなチームの方がむしろ少なかった。欧州の場合、W杯の2年後に開催の「ユーロ」も大きな大会だが、「そこまではまだ選手も、フォーメーションも流動的でいい」という考えのような印象も受ける▼そして南米でも、たとえばアルゼンチンなどはW杯のあと、豊富な選手層を使って、まるで「Aチーム」「Bチーム」でも存在するかのように、2つのほとんど別のチームを親善試合で戦わせている。こうした他の国の現状の戦い方を見るにつけ、セレソンの今の戦い方は余裕がなく見える▼なにも今の時期に、ネイマールが全試合に出場する必要はない。実際、彼よりはだいぶ年上ではあるが、メッシやクリスチアーノ・ロナウドはW杯以降の代表の試合には一切呼ばれていない▼また、フォーメーションもいろいろ試してほしい。チッチ采配では、4―1―2―3のシステムを16年9月の代表監督就任からずっと使っているが、これにこだわる必要もないのではないか。たとえば、現在の欧州で流行りの5バックでの5―2―2―1(もしくは3―4―2―1)でも良いだろし、3トップでなくセンターフォワードを外して2トップで4―4―2を試すのも良いだろう▼「ロシア大会は南米予選のときから選手を一部入れ替えたが、うまく機能しなかった。あのとき、もっと、いろんなパターンを試すことができたら」。これはチッチ氏が11月にグローボ局との独占インタビューで語っていた言葉だ。その二の舞を避けたいのならば、今こそもっと勝敗にこだわらず「遊び」ながら、次の大会、来年のコパ・アメリカまでにチームを仕上げていってほしいところだ。(陽)