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ロラパルーザ=来年4月開催のラインナップ、波乱の発表=国内アーティスト初のトリなど

 来年の4月5~7日に開催される、サンパウロではおなじみの国際的ロック・フェスティバル「ロラパルーザ」(以下ロラ)の出演ラインナップが21日に発表されたが、ブラジル人アーティストの出演をめぐり、同フェスのファンに強い違和感を残す結果となった。
 そのひとつは、今回のロラでは、8回目の開催にして初めて、ブラジル人アーティストがトリのひとつをつとめることになったのだが、これがまず不評だ。
 そのトリをつとめるのはトリバリスタス。90年代からブラジルで圧倒的な人気を誇る女性歌手マリーザ・モンテが約10年に1度組む夢の大型プロジェクトで、最初にアルバムを出した2003年には国際的なブームも記録。2017年の再結成でも、国内ツアーをスタジアム規模で行うなど、人気は抜群だ。
 だが、ロラのファンたちにはそういう理屈は通用しない。「俺たちは世界の一流ロックが見たいんだ。ロックとも言えないトリバリスタスがトリで、1千レアル超えるチケット代を払うなんてばかばかしい」。こうした強い不満がロラの公式サイトに爆発していた。
 ロラは、サンパウロ版の1週前に、ほぼ同じ顔ぶれでアルゼンチンとチリでも行われるが、トリバリスタスがトリなのはブラジルのみ。後の地域は若手のヒップホップ・バンド、トウェンティ・ワン・パイロッツがトリのひとつ(サンパウロ版にも出演はする)だが、現状では、同バンドのブラジルでの人気はもうひとつ。「ならば」ということで国内大物の起用ということだったのであろうが、現時点では裏目に出ている印象だ。
 そして、もうひとつの謎は、「ブラジル人アーティストなのに、サンパウロ版には出ないで他の国のものには出演する」というものだ。しかも、そういうアーティストが三つもある。
 ひとつは、ブラジル音楽界が世界に誇る大御所のカエターノ・ヴェローゾだ。今回、カエターノは息子のモレーノ、ゼッカ、トムと共に、「ヴェローゾ・ファミリー」としてチリとアルゼンチンのロラに出演。この布陣で既に、ブラジル国内ツアーも行ってはいるが、ロック・ファンからも高い評価を受け、尊敬もされているアーティストだけに、「なぜ?」と残念がる人たちも少なくなかった。
 そして、2000年代のブラジル・ロック界でもっとも批評的評価の高いバンドと呼ばれているロス・エルマーノスが、アルゼンチン版にのみ出演。彼らも2007年に活動を休止してからは、数年に1度、ライブ・ツアーを行うのみで、そのツアーは常に、早々とソールド・アウトを記録。メンバーも、ソロではサンパウロ版のロラに出演経験があることもあり、「バンドで出てほしい」という声も前からあがっていたが、サンパウロが飛ばされることになった。
 またチリ版にのみ、ファンキの人気アーティストのMCケヴィーニョが出演。ファンキはブラジルだと一般人気が強すぎて、「ロックのフェスにファンキなんて」と言う人も少なくないが、チリからすれば珍しい外国音楽。それゆえに、逆に出演オファーがかけやすかったのかも知れない。