【既報関連】ジャイール・ボルソナロ次期大統領は22日、教育相にリカルド・ヴェレス・ロドリゲス氏(73)を指名した。同氏は軍上官学校などで教鞭を取るコロンビアからの帰化ブラジル人で、1964年のブラジルの軍政成立を「祝うべきこと」と評していた人物だ。23日付現地紙が報じている。
ボルソナロ氏が教育相にモザルチ・ネーヴェス・ラモス氏を指名しようとして下院の福音派グループの強い反対にあったことは昨日付本紙でも報じたが、その代わりに選んだのは、当初噂されていた連邦検察官のギリェルメ・シェルブ氏ではなく、ロドリゲス氏だった。
ボルソナロ氏は22日、ツイッターでロドリゲス氏に関し、「30冊以上の著書もある思想家で、軍の上官学校で教鞭も取っている人物だ」との説明を行った。
ロドリゲス氏は1943年にコロンビアのボゴタで生まれ、70年代に仕事でブラジルに移住。1997年にブラジルに帰化している。軍の学校で教鞭をとっているが、ミナス・ジェライス州ジュイス・デ・フォラ連邦大学大学院やリオ州カトリック総合大学などの宗教学の教授でもある。
ロドリゲス氏の教育相指名は、ボルソナロ氏が家族ぐるみで信奉している、作家で右翼思想家のオラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏が10月にロドリゲス氏を推薦していたことが伏線にある。ロドリゲス氏は、モザルチ氏の教育相という話が不評を受けた直後の22日、ジュイス・デ・フォラでボルソナロ氏との緊急面会も行っている。
同氏の代表的な著書のひとつが「ルーラと労働者党の大いなる嘘」であることからもわかるように、同氏は右派の人物だ。同氏の思想は、自らのブログ「ラ・マンチャの考え」につづられている。
そこで同氏は、ボルソナロ氏が批判した今年の国家高等教育試験(ENEM)について、「国立教育研究院(INEP)の左翼的イデオロギーの表れだ」と批判した。
さらに、別の投稿では「1964年のブラジルの軍事政権成立は祝うべきことだ」とも記した。64年のことは、1985年の民政復帰以降、「クーデター」として語られており、最高裁のディアス・トフォリ長官が今年の10月に、右派と左派の中立的立場で「64年の運動」と称したときも問題となった。
ロドリゲス氏は、下院の委員会が現在法案を審議している、教育現場での政治討論や性教育を禁じる「政党なき学校」の推進者でもある。だが、下院の福音派代表のタカヤマ氏(キリスト教社会党・PSC)らは、ロドリゲス氏の指名発表後、「ボルソナロ氏の意思を尊重する」としながらも、「我々はこの人物のことを知らない」とのコメントを出している。