テメル大統領は26日、16・38%という幅で最高裁判事の給与を調整する法案を裁可した。この大型調整は、財政支出縮小が望まれる風潮の中で強行されたものだが、その裁可と引き換えに、最高裁のルイス・フクス判事が、最高裁判事が受け取っていた住宅手当の受取を無効にする暫定令を出した。27日付現地紙が報じている。
最高裁判事の給与を、これまでの3万3700レアルから3万9300レアルに引き上げる法案は、今月7日に上院が承認していた。最高裁判事給の調整は、2015年1月に14・6%調整されて以来となる。
今回の調整は8月に最高裁のディアス・トフォリ長官がテメル大統領とかけあっており、そのときに調整を行うことで了承が取れていた。
だが、これはジャイール・ボルソナロ次期大統領が、「社会保障改革を行い、貧しい人の負担が増えようという時期にこのような値上げは不適切だ」と発言したのをはじめ、世間の強い反発を受けることになった。最高裁判事の給与は全公務員の給与調整の基準となっており、シャワー効果で国内全体の公務員人件費が16億レアル以上膨れ上がると予想されている。
そこで、最高裁のルイス・フクス判事は、これまで司法関係者に支払われていた住宅手当を最高裁給与の調整の見返りに廃止することを約束していた。
この住宅手当は、毎月4300レアル支払われていた。これは、受け取る側が勤務地に持ち家を持っているか否かに関係なく、全員に支払われていた。
だが、このフクス判事の提案は反発を招いた。全国連邦検事協会のジョゼ・ラバリーニョ・カヴァウカンチ会長は「給与調整分は他の経費を削減する形で予算に計上されていたのに、住宅手当をカットするとは」と語り、全国労裁判事協会のギリェルメ・フェリシアーノ会長も「住宅手当を廃止する正当性はどこにも見られない」と抗議していた。
だが、テメル大統領は26日に、上院が承認した法案を裁可。これで最高裁の給与は予定通りに上がることになった。さらにこの日、フクス判事も、司法関係者の住宅手当の受取を凍結する措置をとった。
住宅手当は、司法関係者のみならず、上下両院の議員や検察関係者にも支払われている。だが、この支出がこの数年、高騰していることもかねてから問題視されていた。
2013年の住宅手当の総額は2億4109万4142レアルだった。だが、2017年は12億4005万589レアルで、わずか4年間で5倍に膨れ上がっている。
なお、司法関係者への住宅手当の支払いは、給与調整が行われた時点で停止されることになっている。