非政府組織Oxfamブラジルが26日、近年のリセッション(景気後退)のため、16~17年は格差が広がり、15年間続いた改善傾向に終止符が打たれたと発表したと26日付ブラジル国内サイトが報じた。
18年度版格差白書には「停滞する国」という題が付けられた。これにより、格差の大きさで見た世界ランキングは、10位から9位になった。
長期化した景気後退で最も圧迫されたのは、社会の底辺をなし、解雇の波にも見舞われ易い低所得者層だ。所得の低い方から見た、人口の50%までの人の平均月収は、16年比3・5%減の787・69レアルで、最低賃金以下だった。
一方、人口の10%にあたる所得上位者の平均月収は、約6%増の9519・10レアルとなった。また、所得上位1%の人の平均月収は、所得の少ない方から数えた50%の人の平均月収の36・3倍に上った。
また、世界銀行の基準である、1日あたりの収入が1・9ドル(約7レアル)未満の貧困者は、総人口の7・2%相当の1500万人おり、前年の1330万人より11%増えた。
ジニ指数で見た国民1人当たりの所得は、02年から15年間向上していた(指数が小さくなってきていた)が、昨年は指数が再び大きくなり、貧富の差が広がった事を示しているという。
貧困者が人口に占める割合で見ると、17年は12年と同水準だという。この比率が最小だったのは14年で、15年に若干増えたが、16、17年は一気に5年分後退したという。Oxfamは、保健、教育部門への投資を確保し、社会構造を安定させる事が重要だと説いている。
また、17年の女性の平均所得は男性の平均の70%で、72%だった前年より低下。人種格差も広がり、黒人の平均月収は白人の57%から53%に下がった。
他方、16年の社会経費(社会保障や福祉、保健衛生、教育への支出)は国民総生産の22・8%で、所得分配は01年の水準に後退。格差縮小のための公約指数で見た社会経費のランキングは、世界41位だった。
Oxfamは、所得分配の実情改善には間接税が多い税制を改革し、低所得者の負担を軽くする事が不可欠としている。
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