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《ブラジル》マクロン仏大統領がボルソナロ批判=環境問題への姿勢を疑問視=国際関係に影響する可能性も

マクロン大統領(G20 Argentina)

マクロン大統領(G20 Argentina)

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は11月29日、G20サミット開催直前のアルゼンチンで、環境問題に対するボルソナロ次期大統領の姿勢を強く批判し、それが同国との通商に影響することを示唆した。11月29日、30日付ブラジル国内紙、サイトが報じている。
 マクロン大統領の行った批判は、ボルソナロ氏が、ブラジルで来年行われる予定だった第25回気候変動枠組条約締約国会議(COP25)のホスト国を返上させ、気候変動抑制を定めた「パリ協定」離脱を示唆したことに対するものだ。パリ協定には、ブラジルを含む世界196カ国が2015年に署名している。
 マクロン氏はG20に参加するためにアルゼンチンを訪問し、同国との貿易合意に関する会見の場で、「パリで結ばれた協定に関しては世界中の責任だ。だが最近、ブラジルで重要な政治的変革があり、メルコスルがその影響を受けることになる」と発言した。つまり、パリ協定離脱なら、お返しに、(約20年かけて交渉を重ね、締結直前の)メルコスル・EU間の自由貿易協定(FTA)に反対すると宣言した。
 皮肉にも、テメル大統領を筆頭とするブラジルのG20参加団が今回の会議で重要課題と強調したのは「通商」「気候問題」「労働」の3点だった。
 ボルソナロ氏はCOP25の招致返上を指示したほか、環境省を廃止しようとした。また、28日も「アマゾンはブラジルのものであって、世界のものではない」と言い、環境問題が国の生産活動の足かせになるかのような発言を行っている。
 同氏がこのような発言を行う背景には、敵対する労働者党(PT)が政権を担っていた時代に、アマゾンの森林伐採問題を初めとした環境問題に熱心に取り組んでいたことや、同氏が敬愛する米国のトランプ大統領が地球温暖化抑制を含む環境問題に強い抵抗を示していることがある。
 ボルソナロ氏がこのような態度をとり続けた場合、ノルウェーなどからの環境援助が受けられなくなる可能性もある。
 他方、ボルソナロ氏は29日、米国のジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官を迎えた。「トランプ大統領の外交面での右腕」と称される同氏は、G20に参加する前にブラジルに立ち寄り、約1時間、会談のときを持った。
 ボルソナロ氏は会談ののち、来年の早い時期に米国を訪れるよう招かれ、人工肛門切除手術後に訪問したいと述べた上で、「1月1日の大統領就任式にトランプ大統領が出席してくれるかもしれない」と語った。