江差追分ブラジル大会で優勝した馬欠場哲巨(うまかけば・てつお)さん(42、二世)が7日、日本大会の報告のため来社した。馬欠場さんは9月29日に北海道の江差町で行われた『第56回江差追分全国大会』に出場。審査員奨励賞を受賞した。また江差追分ブラジル支部の海藤司副会長(71、山形県)、久保田紀世さん(33、二世)も同じく来社し、馬欠場さんの同支部会長就任を発表した。
馬欠場さんはサンパウロ州バストス市在住。同市の楽隊で指揮者を務めており、元々音楽に触れていたそうだ。3年前から江差追分の練習をはじめ、通信アプリ「WhatsApp」を使い海藤副会長から遠隔指導を受けていた。そして今年8月10日にサンパウロ市の宮城県人会館で行なわれた『第29回江差追分ブラジル大会』に出場し、見事優勝を収めた。
馬欠場さんは日本大会への出場を「他の出場者と自分の歌は比べものにならなかったが、本場で歌うのはまるで夢のように素晴らしかった」と振り返り、「江差追分の深い歴史や唄に込められた想いを感じることができた」と語った。「四級秀」の免許状も受け取った。また、格付審査員から指導を受けることもできたそうだ。
海藤副会長は「江差追分をはじめて3年で優勝は珍しい」と語り、「音楽家の馬欠場さんはただ歌うだけでなく、その曲でなにを表現するかをすぐに受け止めることができる。本場での経験を活かし、本当の江差追分が歌えるようになるのでは」と期待した。
また、海藤副会長は同支部の世代交代について「5年前から準備を進めていたが、そこに彼が天から降ってきた。市役所楽隊の指揮者として働く彼は、会をまとめる統率力があると思う」と微笑んだ。
来年はブラジル支部が創立30周年を迎える。日本から唄い手を招聘するなどし、盛大に記念大会を行なう予定だ。「グループ民の久保田紀世会長が実行委員長になるなど若い人を中心に活動し、盛り上がりを見せて欲しい」と語った。
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江差追分ブラジル支部には高齢者が約20人、二、三世の若者が30人程度所属している。10年前は80人ほど所属していたが、9割は高齢者だったそうだ。会員数自体は減ったものの、若い人の比率が高まっている。海藤副会長によると、ブラジル大会で優勝し日本大会出場権を得る人の95%は民謡初心者だそう。「江差追分は日本一難しいといわれる民謡のため、ほかの民謡に親しんでいた人は独特の規則に慣れるまでに時間がかかる」とその理由を説明し、「経験者ももちろん、初心者大歓迎です」と参加を呼びかけた。問い合わせは海藤副会長(12・98125・0018/taubatekaito@yahoo.co.jp)まで。