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人文研=全伯日系団体の実態調査=全437団体、6割しっかり活動=(上)=30年ぶり、2年半がかりで

発表する細川多美子さん

発表する細川多美子さん

 「全伯の日系団体は少なくとも437あると考えていい」――11月28日晩にサンパウロ市のジャパンハウスで、サンパウロ人文科学研究所の調査「多文化社会ブラジルにおける日系コミュニティの実態調査」の報告会が行われ、代表の細川多美子さんはそう言い切った。世代交代しても生き残り、日系人の誇りの源泉となっている各地の日系団体の実情が、余すところなく数字で浮き彫りになった。移民80周年で行われた日系人口調査以来、30年ぶりの本格的な日系社会調査となった。

 今までは「地方日系団体は400団体余りあり、デカセギブーム後に空洞化してだいぶ減ったはず」ぐらいの大雑把な把握しかされてこなかったが、今回実像がはっきりしてきた。
 事前調査で把握できた団体数は531もあり、うち450団体を実際に訪問し、その結果、有為なデータが採取できたのが437だった。調査員16人を雇って2年半がかりで訪ねて、142項目の聞き取りをした。「項目数が多いため、一団体につき3、4時間かかることもあった」という。それをデータベースに入力して、様々な角度の切り口から調べられるようにした本格的なもの。
 各団体の活動状況に関しては「大変活発」が5%、「活発」が10%、「普通」が43%であり、約6割(約250団体)がしっかりと活動を続けている。
 その反面、「少し困難を抱え、今後どうなるか分からない」が33%、「大変困難を抱えており、実質閉鎖に向かっている」が9%もあり、合わせて42%(約180団体)は不安定な状態。特に閉鎖寸前の団体が9%(約40団体)もあり、看過できない問題といえそうだ。
 全伯436団体中の255(58%)がサンパウロ州に集中。サンパウロ市内だけで44(10%)。2番目はパラナ州の77(18%)、3番目は南麻州で23(5%)、4番目がリオ州19、続いてミナス州12、バイア州10、サンタカタリーナ州9、パラー州6となる。
 会長の世代を見ると、一世が15%、二世が61%、三世が22%、非日系が2%あった。会長の年齢層は65%が60歳以上、うち6%は80歳以上だった。若手会長といえる40~59歳代は33%いた。
 会員数は99家族以内が66%と大半を占める。100から299家族が26%、300家族以上の大型団体は少数だが、500家族以上の団体が9つあった。非日系会員を認めているところが61%、日系のみが39%。団体役員をみると99%が日系だった。(つづく)


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 本紙でも2007年頃から全伯の鳥居の数を調査し、17年4月時点で少なくとも「107基」を確認していた。ところが、今回の人文研の本格的な実態調査によって、なんと「少なくとも150基はある」ということが分かった。記者が取材の片手間に発見してきたものを積み重ねた本紙調査と違い、人文研調査では全ての日系団体を訪ねた。興味深い色々なデータが詰まっていることは間違いなさそうだ。